11 梓side ページ11
「…西海、篠原のこと気にしてんの?」
水を飲んでいると、大輔にそんなことを言われた。
キャップを閉めて、ふぅとため息をつく。
「…そりゃ、気になるよ。
1年からずっと好きで、最近やっと 名前呼んでもらえるようになって。
男子だったら俺が一番近いって思ってたけど…。
…最近、篠原と菜々子が仲いいっていう噂、聞くし…」
恋愛なんて初めてで。
少しずつ少しずつ、俺なりに必死に距離を縮めていって。
それなのに、会って間もない奴と 噂になってて。
しかも相手が、S組の上に生徒会で、しかもイケメンとか。
「…はぁ」
「お前も負けず劣らずすげーやつだよ。そもそもSに学力で勝とうなんて無謀だぞ?!サッカー部のキャプテンだし、顔はお前だって整ってるじゃん。むしろその顔寄越せ。俺が買い取る」
「篠原、モテるよな…」
「そりゃな。でもお前と篠原は顔の系統違うじゃん。篠原はなんて言うの、スイートフェイスっていうか。西海は the・好青年っていうか」
「菜々子は どっちの顔が好みなんだろう…」
「菜々子ちゃんの好みとか聞いたことないよな。その情報需要高そう」
「…このままだと、駄目だよな」
「ん?」
「菜々子が、もってかれる」
渡したくない。
絶対に。
今までは、いい友達でいたけど。
その関係も、距離感も、本音を言えば じれったかった。
菜々子の笑顔も、優しさも。
全部俺が独り占めしたい。
「俺…自分が思ってたよりも 菜々子が好きみたいだ…」
「…。」
「…なんだよ、引いてるのかよ」
「いや…西海って、結構 一途で素直なんだなって…」
「は?」
「聞いてるこっちが照れるわ…」
「何言ってんだよ…」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時