検索窓
今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:25,262 hit

39 ページ39

貴女「ありがとう、ここまで送ってくれて」

「いえ、男は女性の身を護るのも仕事のうちですから」








花さんを家まで送り、別れの挨拶をする。

旦那さんと静音さんは出かけているらしく、本屋の中は静まり返っている。











「お1人でも大丈夫ですか?」

貴女「ええ。子供じゃないし、平気よ。お父さんとお母さんも すぐ帰ってくると思うし」

「ならいいですけど…。何かあったら、すぐに」

貴女「はいはい、貴方って過保護よね。お父さんみたいだわ」

「お父さ……。なんですか、それ」

貴女「例えばの話よ。別に貴方が老けてるってわけじゃないわよ」

「僕が老けて見えていたら、花さんも老けて見えるってことですよ。
僕達、同い年じゃないですか」

貴女「歯、くいしばりなさい」

「ちょ、なに殴る準備してるんですか?!」












拳を固め、僕をにらむ花さん。

急いで花さんの腕を掴み、拳を解く。



花さんの、細くてきれいな腕。

あまりの細さに、儚さを覚える。












「…折れてしまわないか、不安です」

貴女「え?」

「あまりに細いから……。触れることですら、怖い」










壊れ物を扱うように、花さんの腕をゆっくり降ろす。

眩しいほどに光る白い雪のような肌。
白魚のような細い指。




今まで、なんで気づかなかった?


華奢だとは思っていたけれど。




改めて思うと、花さんはとても細かった。


こんな華奢な体の心の中に、あんなに重い過去がある。

実の親に捨てられた過去。
それによって深く付いた心の傷。
拭えない闇。



それを一人で、背負っていたかと思うと。



臆病で、気弱な自分が 小さく、そしてみじめに―――――









貴女「は?何言ってんのよ、折れたりしないわよ」












ぺしっと腕を軽くたたかれ、花さんは僕の着物の袖を少し捲った。

そして、自分の手首を僕のそれに並べると。










貴女「男の貴方に比べたら、そりゃ細いわよ。私は女だから。

だからっていって折れるわけないでしょ。私はそんなヤワな女じゃない」









そう言って、大きく笑う花さん。


それを見て、どこかホッとした自分がいた。

それと同時に。











「(…この笑顔に、救われたんだよなぁ)」










花さんは、笑顔1つで僕の心を軽くしてくれたんだ。

40→←38



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
設定タグ:番外編 , 向日葵 , 医者の卵 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

向日葵(プロフ) - ぐれーとまっくすな手毬。さん» お久しぶりです(*^_^*)合格、おめでとうございます!私なんて、何のお力添えにもなれなかったと思いますが こうして報告して頂けてとても嬉しいです。手毬さんの努力に、拍手です!本当におめでとうございます(*^^)手毬さんの高校生活が楽しくなるよう祈ってます(*^^*) (2014年2月27日 19時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 向日葵さん、お久しぶりです、手毬です。覚えていますでしょうか?…この度手毬、推薦で高校入試に合格いたしました!報告遅くなってごめんなさい。ずいぶん前になりますが助言頂いたこととても感謝しています。お陰さまで、無事合格しました!ありがとうございました! (2014年2月23日 23時) (レス) id: a41bb197be (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - けいおんさん» 読んで頂いて有難うございます(*^^)vやっと更新再開いたしました、お待たせしました(・.・;)これからもよろしくおねがいします!! (2014年2月20日 21時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - 更新再開してください (2014年2月6日 10時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - キュンキュンになりました!!是非続きを読みたいです。よろしくお願いします (2014年2月5日 13時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:向日葵 | 作成日時:2013年9月19日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。