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貴女「ありがとう、ここまで送ってくれて」
「いえ、男は女性の身を護るのも仕事のうちですから」
・
花さんを家まで送り、別れの挨拶をする。
旦那さんと静音さんは出かけているらしく、本屋の中は静まり返っている。
・
「お1人でも大丈夫ですか?」
貴女「ええ。子供じゃないし、平気よ。お父さんとお母さんも すぐ帰ってくると思うし」
「ならいいですけど…。何かあったら、すぐに」
貴女「はいはい、貴方って過保護よね。お父さんみたいだわ」
「お父さ……。なんですか、それ」
貴女「例えばの話よ。別に貴方が老けてるってわけじゃないわよ」
「僕が老けて見えていたら、花さんも老けて見えるってことですよ。
僕達、同い年じゃないですか」
貴女「歯、くいしばりなさい」
「ちょ、なに殴る準備してるんですか?!」
・
拳を固め、僕をにらむ花さん。
急いで花さんの腕を掴み、拳を解く。
花さんの、細くてきれいな腕。
あまりの細さに、儚さを覚える。
・
「…折れてしまわないか、不安です」
貴女「え?」
「あまりに細いから……。触れることですら、怖い」
・
壊れ物を扱うように、花さんの腕をゆっくり降ろす。
眩しいほどに光る白い雪のような肌。
白魚のような細い指。
今まで、なんで気づかなかった?
華奢だとは思っていたけれど。
改めて思うと、花さんはとても細かった。
こんな華奢な体の心の中に、あんなに重い過去がある。
実の親に捨てられた過去。
それによって深く付いた心の傷。
拭えない闇。
それを一人で、背負っていたかと思うと。
臆病で、気弱な自分が 小さく、そしてみじめに―――――
・
貴女「は?何言ってんのよ、折れたりしないわよ」
・
ぺしっと腕を軽くたたかれ、花さんは僕の着物の袖を少し捲った。
そして、自分の手首を僕のそれに並べると。
・
貴女「男の貴方に比べたら、そりゃ細いわよ。私は女だから。
だからっていって折れるわけないでしょ。私はそんなヤワな女じゃない」
・
そう言って、大きく笑う花さん。
それを見て、どこかホッとした自分がいた。
それと同時に。
・
「(…この笑顔に、救われたんだよなぁ)」
・
花さんは、笑顔1つで僕の心を軽くしてくれたんだ。
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向日葵(プロフ) - ぐれーとまっくすな手毬。さん» お久しぶりです(*^_^*)合格、おめでとうございます!私なんて、何のお力添えにもなれなかったと思いますが こうして報告して頂けてとても嬉しいです。手毬さんの努力に、拍手です!本当におめでとうございます(*^^)手毬さんの高校生活が楽しくなるよう祈ってます(*^^*) (2014年2月27日 19時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 向日葵さん、お久しぶりです、手毬です。覚えていますでしょうか?…この度手毬、推薦で高校入試に合格いたしました!報告遅くなってごめんなさい。ずいぶん前になりますが助言頂いたこととても感謝しています。お陰さまで、無事合格しました!ありがとうございました! (2014年2月23日 23時) (レス) id: a41bb197be (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - けいおんさん» 読んで頂いて有難うございます(*^^)vやっと更新再開いたしました、お待たせしました(・.・;)これからもよろしくおねがいします!! (2014年2月20日 21時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - 更新再開してください (2014年2月6日 10時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - キュンキュンになりました!!是非続きを読みたいです。よろしくお願いします (2014年2月5日 13時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向日葵 | 作成日時:2013年9月19日 7時