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「やはり、千優さんはお優しいですね」
「…え?何をおっしゃっているんです?僕は相手に刀を振りかざしたんですよ。
優しいわけ、ないじゃないですか」
「それでも、後で お薬を渡していらっしゃっていました。
千優さん、大好きです」
「………そう言って下さる、貴女の方が何十倍もお優しいですよ」
・
柊先生も姫を抱きしめ、愛おしいとでも言うかのように頭を優しく撫でさする。
僕は鞄から応急処置の道具を出し、柊先生の傷を見た。
・
「刀で切られたんです、軽い怪我ではありませんよ」
「平気だよこれくらい。それより、姫に本当に怪我がないかを…」
・
先生は、姫の顔や腕を念入りに調べ 傷が無いかを調べる。
勿論、先生が身を盾にしてまで守った姫には傷は一つもない。
・
「弓弦さん。その応急処置の道具をお貸し頂けますか?」
「え?えぇ、どうぞ」
・
姫は消毒の薬を傷口に塗り、包帯を巻く。
華族の姫君にしては、随分家庭的な方だ。
慣れた手つきに驚きを隠せない。
・
「私は、いいんです。傷がついていても…それが残ってしまっても。
もう、守られるだけでは嫌なんです。
私は、もう華族の姫ではなく、千優さんの妻なんですから。
千優さんの腕で守られるだけより、私も千優さんを護りたい。
刀は使えませんが、他の形で。
千優さんと婚約した時から、覚悟は決めています」
・
包帯を巻き終わり、柔らかい笑顔を浮かべる。
そして僕と花さんの方へと向くと。
・
「申し訳ありません、折角御足労頂いたのに、お茶も出せずに…」
貴女「そ、んな!いえ、姫様と柊先生が御無事であっただけでも…。
今日は、帰ります。柊先生も、お怪我がございますし…」
「あぁ、申し訳ない。また今度の機会にでも。来てくれると 妻も喜ぶ」
・
そう言って姫を抱き寄せ、壊れ物にでも触れるかのように手を重ね
女性が叫びそうなほどに 甘く柔らかな笑顔を見せる。
どちらかが動けば触れてしまうほどに近い唇。
僕達がいなければ、もう既に あの唇は重なっていたであろう。
花さんなんか、2人に見惚れて顔を少し赤く染めている。
・
「とりあえず…!今日の所は引き取りますね!柊先生、姫様、どうかお大事に…。
花さん、行きましょう」
貴女「えっ、あ…、え、えぇ」
・
急いで立ち上がり、屋敷を足早に立ち去る。
…あの空気は、僕達には甘すぎた。
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向日葵(プロフ) - ぐれーとまっくすな手毬。さん» お久しぶりです(*^_^*)合格、おめでとうございます!私なんて、何のお力添えにもなれなかったと思いますが こうして報告して頂けてとても嬉しいです。手毬さんの努力に、拍手です!本当におめでとうございます(*^^)手毬さんの高校生活が楽しくなるよう祈ってます(*^^*) (2014年2月27日 19時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 向日葵さん、お久しぶりです、手毬です。覚えていますでしょうか?…この度手毬、推薦で高校入試に合格いたしました!報告遅くなってごめんなさい。ずいぶん前になりますが助言頂いたこととても感謝しています。お陰さまで、無事合格しました!ありがとうございました! (2014年2月23日 23時) (レス) id: a41bb197be (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - けいおんさん» 読んで頂いて有難うございます(*^^)vやっと更新再開いたしました、お待たせしました(・.・;)これからもよろしくおねがいします!! (2014年2月20日 21時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - 更新再開してください (2014年2月6日 10時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - キュンキュンになりました!!是非続きを読みたいです。よろしくお願いします (2014年2月5日 13時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向日葵 | 作成日時:2013年9月19日 7時