１５ ページ15
貴女「…ねぇ、貴方。昔からここに住んでいるんでしょう？」
「え、ええ」
貴女「じゃあ、昔ここらで有名だった盗みの少女の話、知ってる？」
「……………。」
貴女「知ってるのね？」
「…はい」
貴女「その少女って、私の事よ」
・
いきなりの告白に、驚きを隠せない僕。
何でもないと言いたそうな花さんは、どうってことないような表情をしている。
・
「……は、花さん」
貴女「大した話じゃないわ、私は物心つくときから盗みをしていたの。
…気づいたら一人ぼっち、親もいなかったわ。血縁者すら、ね。
働けない子供が生きるためには、盗むしかないのよ。盗んで、盗んで、食べ物を得るの」
「た、大した話ですよ！」
貴女「大したことないわよ、もう消えている噂だし。
皆、私が あの時の少女だなんて覚えてないわ。あの時は、とっても汚い子供だったもの。
今は、ほら。盗みなんてしてないし、自分の稼ぎで綺麗な着物を着ているのよ。
食べ物も、自分で買ってるし。皆に、綺麗って…言われて…」
「…………花、さん？」
・
気づくと、花さんはボロボロと涙をこぼしていた。
それでも、ごしごしと着物の袖で涙をぬぐう。
・
貴女「ち、違うのよ！ただ、海岸の砂が風に乗って目に入ったの」
「花さん」
貴女「私、もう昔の事を受け止めてるから。過去のことでなんか泣かないわ。
…だから、ね。貴方、もう私に近づかない方がいいわよ。
盗みを働いていた女の傍になんかよらない方がいいわ」
「な、何をおっしゃっているんです」
貴女「昔から、一人だったもの。一人にはもう慣れたわ。
周りに人がいなくていいの。今まで一人でやってきたんだから、平気よ。
私の傍にいたって、いいことなんてない。
…綺麗な着物を着ても、美味しい食べ物を食べていても。
私は、何も持っていないもの」
・
強がるように、最後の涙をぬぐい 赤くなった顔を隠すように俯く。
彼女は、強い。
簡単に、音をあげたりしないからだ。
・
「…それでも、花さんのお傍にいてもいいですか？」
貴女「…な、何言ってるのよ。私の話聞いてたの？いいことないって言ったでしょ。
姫様みたいにお金持ちでもないし、綺麗でもない。
いいえ、財産どころか家族もいないわ」
「何かを持っていなければいけない理由があるのですか？」
貴女「…え？」
「何も持っていなくても、僕は貴女のお傍にいたい」
貴女「………な、何…言って…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵(プロフ) - ぐれーとまっくすな手毬。さん» お久しぶりです(*^_^*)合格、おめでとうございます！私なんて、何のお力添えにもなれなかったと思いますが こうして報告して頂けてとても嬉しいです。手毬さんの努力に、拍手です！本当におめでとうございます(*^^)手毬さんの高校生活が楽しくなるよう祈ってます(*^^*) (2014年2月27日 19時) (
レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 向日葵さん、お久しぶりです、手毬です。覚えていますでしょうか？…この度手毬、推薦で高校入試に合格いたしました！報告遅くなってごめんなさい。ずいぶん前になりますが助言頂いたこととても感謝しています。お陰さまで、無事合格しました！ありがとうございました！ (2014年2月23日 23時) (レス) id: a41bb197be (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - けいおんさん» 読んで頂いて有難うございます(*^^)vやっと更新再開いたしました、お待たせしました(・.・;)これからもよろしくおねがいします！！ (2014年2月20日 21時) (レス) id: a335748cd3 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - 更新再開してください (2014年2月6日 10時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
けいおん - キュンキュンになりました！！是非続きを読みたいです。よろしくお願いします (2014年2月5日 13時) (レス) id: 7e2908af86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2013年9月19日 7時
