音柱は嫁依存症

愛する宝、お前がいないと。 ページ46

「Aガ死際ニ書イタ手紙！

宇髄 天元ニ宛テタ手紙！！」



A。



亡骸には毒の跡は既にないが、

痛々しい傷痕は多く残っていた。


ただし、顔だけはかすり傷１つだけで、

眠っているようにさえ見えた。




起きねぇかな。






A、痛かったろう。


毒、回ってる状態で

あの鬼舞辻と戦ったのか？お前。



苦しかったよなぁ。


助けれなくて、ごめん。



不甲斐ない旦那で悪い。




仕事仕事って、夫婦らしいことも

あんまりできなかった。


なんで手紙なんだよ。


死ぬって決まってるとしても

最後に声くらい聞かせろよ。









俺はお前がいなくなったら

俺も死ぬって、

そう決めてるって言っただろ。


この戦い終わったらあんみつ食いに行くって。




Aを責めても仕方ねぇよな。


逆に褒めてやんないとな。



さすがは俺の愛した嫁だぜ。







きっと

運良く遊女の使ってた

筆や紙が近くに転がってたんだろう。



ところどころすすけた紙には

墨が掠れた歪な文字が並んでいた。







【天元様へ

先にいってしまいすみません
ひなつるさん、まきをさん、す磨さん
育てて
くれて
ありがとござます

天元様が好きです
大好です
愛してます


いきてくださ い】









涙が足を地面を

雨のように濡らす。



雛鶴達にも手紙を手渡した。




俺は俯いているから

3人の表情は分からないが

鼻をすする音が聞こえる。


妹みたいに可愛がってたもんな。









炭「宇髄さん」



宇「ん？」




炭「生きましょう。


失っても、失っても

生きていくしかありません。


Aさんも、それを望んでます」




伊「こいつ…、なんで俺を庇いやがった。

俺は親分の伊之助様だ。

心臓動かすくらい容易いのによ。



カッコいい女だぜ、ムカつく…」



善「Aさん、

俺らが頸斬りに行けるように

休まずずっと帯斬ってくれててさ…。


最後まで優しい人だよな。


良い奥さんだよ」


炭「Aさんがいなかったら

俺も雛鶴さんを助けに行けませんでした」

雛「そう…だったの」








いきてください


Aの手紙を読み返す。






右腕でAの体を抱きかかえ

俺の膝上に座らせる。



怖いほど力のない体は

少し重い。




途中から無い左腕も

Aの背中に回す。




キツく抱きしめれば

「苦しいです」と笑い声が

聴こえてほしかった。



宇「A…」

可愛い子供達、未来を。→←愛する宝、どこ行った？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す