音柱は恋人依存症

師範、久しぶりです…っ。 ページ30

それからというもの

師範は昼間、

毎日接吻をしに来た。


変わらずお偉いさん達の

お相手も

仕事の一環でしていた。






今夜は確か、

政治家の人。


この人は私に触れてきたりしない。

お酒を飲んで

話をして

おんなじ布団で寝て

おしまい。


今日は比較的楽かも。




そう思ってた。





夜になっていきなり

予定が変更になった。



「ごめんなさいね、

風邪ひいちゃったみたい」

『女将さん、私は大丈夫ですよ』


こういうことはよくある。


「その代わりにね

別のお客さんが入ったわ。

よろしくね、

とてもかっこいい方だったよ」

『ありがとうございました〜』



かっこいい方。


師範だろうな。

久しぶりに客として

師範がきてくれる。

また一緒に寝れる。過ごせる。




心が踊って

私は念入りに支度をする。



『そろそろ、簪

つけていいかな……？』


どうせ今夜の客は

師範なんだから、

簪をつけてもいいだろう。


私、花魁だし。

好きなのをつけたい。









_______夜。


日も暮れ、提灯に灯がついてく。

いつ見ても、

この風景は素晴らしい。



部屋に向かう。

今日は奥の

1番大きな部屋だ。


大きな部屋だけれど

ここは人通りの少ない部屋で、

滅多に人は来ないし、

部屋までの道のりが複雑で

来るには面倒なのだ。



遠くて面倒だけど

体がソワソワして

言うことを聞かない。




ようやく着いた

部屋の襖をゆっくりと開ける。





『失礼いたします。

Aです』





よく来たな。さあ、入りなさい。









『え…？』



声が師範じゃない。


一瞬、無惨かとも

思ったが

無惨の声はこんなに、



こんなに力強くない。




私の知っている人。


尊敬する人。


仲良くしてもらってる人。





怖くはない。


驚いているだけ。




どうして。









『煉獄、様……？？』



煉「…どうしたA。


入りなさい」



燃える火のような髪。

目力が半端じゃない目。


そこにいたのは

私服姿の煉獄様。






言われた通りに

中に入り、

煉獄様の隣に座る。




『煉獄様っ、どうしたんです？


一体誰からここの店を…』

煉「不死川が教えてくれた！」



なるほど、

柱の中で情報共有は

なんらおかしくはない。



師範じゃないのは残念だけど

煉獄様とは

とても久しぶりに会うので

これはこれで嬉しい。

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