音柱は恋人依存症

師範、緊張します。 ページ2

早速、師範のお部屋に

呼ばれたので、

自室を抜けて隣の部屋へ。


隣の部屋は、師範のお部屋。



今は夜です。




普段見慣れている廊下は

いつもと違く見える。


今まで何度も触れた

師範の部屋の襖は、

何か変な圧さえ感じてしまいます。






実際、

お嫁さん修行という

修行の内容が

イマイチ分かっていません。


一体何をするんだろう…。





宇「Aー。

いつまでそこにいんだよ。

早く入って来い」


『はいッッッ』



失礼します、と

襖に手をかけ

師範の部屋に入る。



いつもと変わらない部屋なのに、

初めて来た場所のよう。


自分でも分かる。






すっっごく緊張する…！！








宇「さぁて…」

『！！』


早速、修行ですね！？


いつもの鍛錬のように

体力を使う修行ではないはず。



今現在では

私達は “恋仲” の男女なのだから。




宇「では、ド派手にお嫁さん修行を始める」

『よろしくお願いします…』



どんな修行なんだろう…？







宇「とりあえず後ろ向け」


『はい？？』

宇「後ろ、向け」

『はい』



後ろを向く訳が分からないけど、

強制的に向かされる前に

自分の力で後ろを向いて座る。





宇「…………」








感覚で、髪を触られていると分かる。


きっと髪を

結い上げてくれているのだろう。



ただ、最後に

結い上げた髪の束へと

細長い何かが

刺さった。




……何、今の。




『師範…？

何して……』


宇「もういいぞ。

俺を見ろ」



再び師範と向かい合う。


先程と違う点は、

師範がその大きな手に

鏡を構えているということ。




鏡には案の定

私の姿が。






髪に刺さった物の

正体が見える。









『綺麗な簪…っ。


くれるんですかっ？？

とっても可愛いです！



私、ずっとつけてますね！』



桃色と淡緑、朱色の

鮮やかで派手な簪。



師範がいつも見につけている色。



『これで、いつも師範と一緒ですね！！』


宇「ハハッ。そーだなっ。



本当はよ、

お前に求婚したあん時に

渡せれば良かったんだが…。


男が女に簪を贈るのには

“求婚” の意味があるんだぜ？



お前は、俺に求婚された。

その証拠だ」



師範の言葉一つ一つに

心が躍る。




宇「ま、これで他の男も

寄り付かなくなると

尚いいんだがな」

『相変わらずで結構ですよ』

宇「お前の行く先全てに

付いてってやるからな」

『それはほんとやめてください…』

師範、恥ずかしいですー！！→←師範、忘れないでくださいね？

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