私、音柱に拾われました【宇髄天元】

23話 ページ24

部屋に案内され、宇髄さんと共に正座で待つ




宇髄さんのお屋敷も広いと思ったが、ここはさらに広く感じる




未だにこういう場は慣れていなくてソワソワしてしまう





｢おい、さっきからソワソワしすぎだ｣




｢うぅ…緊張で足も痺れてきました…｣




｢ったく…ほら｣




｢！｣





宇髄さん側にあった右手が大きくて男らしい、温かい手に包まれた





｢こうやって手を繋いでたら安心するだろ？｣




｢は、はい｣




｢｢…………｣｣





なんか、空気が……




宇髄さんと手を繋いだことはあるが、それは移動の時だったからこうして繋ぐのは初めてだ




お館様と会う緊張なのか、宇髄さんと手を繋いでいるという恥ずかしさからなのか




手汗が止まらない





｢待たせてしまったね｣





と、優しい声と共に襖が開いた




素早く宇髄さんが頭を下げたので、私も慌てて下げる





｢よく来てくれたね、二人とも｣





｢お館様におかれましても御創建で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます｣




｢ありがとう、天元。二人とも顔をあげていいよ｣





宇髄さんに続いてゆっくり顔をあげる




さっきの宇髄さんの挨拶でお館様がどれほどの方なのか分かった気がする




とても優しい雰囲気がする





｢A、急に呼び出してすまなかったね｣




｢い、いえ｣




｢君のことは天元からよく聞いている、大変だったね｣




｢！！｣





なんだろう、この感じは




お館様のお声が優しいからなのか…お館様の人柄なのか




“大変だったね”という言葉だけで涙が出そうになり、グッと堪える





｢鬼殺隊や鬼のことは聞いているね？｣




｢はい、宇髄さ…音柱様から｣





なんとなく、音柱様と呼び替えてしまった




柱同士は名前以外に、〇〇柱と呼び合うこともあるらしい





｢A、君はそれを聞いてどう思ったかな？｣

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