君が何回だって笑うから【実.況.者】

３７回目 ページ37

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「...俺、うっしーのことも、...Aのことも、大事だよ」

「...おう」


おだやかな空気の中の唐突な言葉にもうっしーは優しく頷いてくれた。
この感じがなんだか久しぶりな気がして嬉しくなったことは内緒だ。


「だからさ、誰も...傷付けるつもりなんてなかった」

「...好きになるなんて制御できないし、お前が何かを後ろめたく思う必要なんてねえよ」


言葉足らずだったのにうっしーはちゃんと理解してくれた。
俺がうっしーの邪魔をしたせいで今まで以上にこんがらがってしまった、そんな俺の後悔を笑い飛ばしてくれる。

それに安心して力が抜けるような感覚になったけどそんな姿を見せるのは情けないから、今日は帰ると言った。


「...キヨ、これからもいつも通りでいろよ」


玄関のドアが閉まる直前にそう言われて、閉まり切ってからため息をついた。
うっしーが「Aを諦めなくていい」と言ってるのが伝わってきたからだ。


「...はあー。...ほんっと敵わねえわ」


今日の当初の予定は、何かに恐れて告白しないうっしーに喝を入れに行くことだった。
でも、その理由が俺だったことには何も言えなくなってしまった。

俺がAに告白したことを話してもうっしーは責めないだろうし、あっちから離れてくこともないだろうとは確信している。
それでもやっぱり、今日のことはうっしーには言わないと決めていた。

もう終わったことだからこれ以上この恋を拗らせる必要はない。

それでも自分の考えが正しいと言えないのがもやもやして、気付けばスマホを手にしていた。

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