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大変だ。
由々しき事態だ。
「メレオレオナ様、服が無いです。」
「あるではないか。」
「いやむしろこれしか無いんです。」
突然拉致されて着くなり頭から滝壺に落とされた私は、温泉の準備などもちろんしてる訳もなく。
つまるところ着ていた服しか持ち合わせていない。
というよりそのままで居たので脱いでしまえば何もない訳だがこのままでは帰れない。
「乾かせばいい。そうだな、ついでに朝食にするか。焚き火を作っておいてやるから乾かせ。寒ければ湯に浸かっておけ。」
なるほど合理的…！
温泉に浸かりすぎて物理的に溶けてなくなりそうではあるが、背に腹は替えられない。
頷けば、メレオレオナ様は言った通り特大の焚き火を作って…消えた。
(山火事にならないよねこれ？というか朝食って？)
うっすら嫌な予感がする。
その予感を首を振って打ち消しながらも、再び温泉へと身を沈めた。
ぼんやり空を見上げて流れる雲を見ながら、想いを馳せる。
今までの事、これからの事。
(いつまでも悩んでもいられないよね…)
ノゼルさんに、嫌われていた訳じゃなかった。
それだけで心が暖かく、救われた気になる。
弾かれた手も冷たい視線も無情な言葉さえ全てが私を守る為だと知った今、そこに憂いは無い。
(強く、なりたいな)
もう遅いかもしれない。
もう終わった事かもしれない。
でも、私が強くなればきっと不器用なあの人も安心できる筈だ。
まだ寂しくて悲しくて胸は痛むけれど、この痛みもいつかは風化して思い出になるのだろうか。
(全然そんな気しないけど)
ザバン、と頭まで湯に浸かってすぐに出る。
そして頬を2.3度叩いて気合を入れ直す。
焚き火と太陽と風のおかげで服も乾いた。
(戻ったら、少し休んでまた任務をこなそう)
前のように無理にではなく、着実に実力を上げていけばいつかはノゼルさんの目にも止まるだろう。
元々、突拍子もない話だったのがゼロスタートに戻っただけだ。
(いや、こっちもあっちも想い想われな分マシなはず)
心配すらさせぬほど、強くなればいい。
今の私にはそれしか出来ない。
(そう思うだけで、ちょっと楽だ)
大きな岩に身を預けて深く息を吐く。
陽射しが心地よくて、滝の音も気持ちいい。
時々吹く風が木々を渡る音、鳥の声。
いつの間にか私の意識は微睡みの中に落ちていった。
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夏冬 - ほんっっっっっとに面白かったです！！そして幸せな気分になれました！！！こんなにいい小説は久しぶりです！！！本当にこの作品を作ってくださってありがとうございました！！！！感謝しかないです！！！ (6月16日 21時) (
レス) @page50 id: 770d92d812 (このIDを非表示/違反報告)
雑草のかきあげ（仮垢）(プロフ) - あ''ぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ好きです！！！！！きゅんきゅんが止まりません！！！！！作者様は私をキュン死させようとしているのでしょうか！？！？！？ (2022年9月6日 7時) (レス) @page50 id: dc942b8391 (このIDを非表示/違反報告)
とも - 読み応えがあり泣き笑い、本当に面白かったです！！！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 一気に読ませていただきました。表現が細かいのにしつこさが無く、素人特有のわざとらしさも感じられなくてプロなんじゃないかと感じるほどの内容と読みやすさでした。続編、もしくは新作楽しみにしております。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2020年7月8日 15時) (レス) id: b410464f01 (このIDを非表示/違反報告)
さらちゃん - 素晴らしい作品でした！1日で一気読みさせて貰いましたが最初から最後までキュンキュンさせていただきました(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年6月13日 13時) (レス) id: 498426d70a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年5月12日 23時
