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獅子達の悩み ページ34

Aを部屋まで送ったレオが執務室へ戻ってきた。
何だかんだと話している内に陽は昇り、部屋が暖かな光で満たされている。
窓を開けて朝の澄んだ空気を取り入れ、淀んだ気を入れ替える。


「兄上……。」

「レオ、そんな情けない声を出すな。」


この、素直すぎる弟は色々な事がありすぎてキャパオーバーしているようだ。
Aが熱に倒れた事も気になるのだろう。


「俺は…兄上がお疲れな事も気付けませんでした…。Aはひと目で見抜いたというのに。Aの事も具合が悪いとはつゆ知らず朝から振り回してしまいました…。」


項垂れながらそう言う弟に、私は

[ずごしっ!!!]

容赦なくチョップをした。


「愚か者っ!出来なかった事をいつまでも悔いるな!次に同じ事が無いように己の糧として進むのだ‼」

「はいっ!」


確かにここ数日は禄に睡眠を取らずに仕事をしていた。
Aの相談を受けた後から色々な事が気になっていたのもある。
しかし組織を纏める長として、これではいかんと思い体を横たえたタイミングで例のノゼルからの書簡が届いたのだ。


「兄上?大丈夫ですか?」


心配する弟の頭をポンポンと撫で、椅子に深く腰掛けて天を仰ぎ目を閉じる。
キュッと眉間に力が入り、相当疲れが溜まっている事を実感した。
彼女の件は後ほどノゼルに書簡を出すとして…。


「レオよ、聞きたい事がある。おまえはまたノックもせずに人の部屋…しかも女性であるAの部屋に立ち入ったのか?」


身を起こして弟を見据えると、ビクッと分かりやすい反応をして固まる。
内心深い溜め息を吐き、どうしたものかと頭を抱えた。


「い、急いでいたので…つい……。」


さすがのレオも急いでいたとはいえ、扉までは壊さないはずだ。
となれば、Aの方も鍵を掛けていなかったのだろう。
先程耳にしたレオの呟きを思い出す。

『…あんな格好で寝ておるからだ……。』

見てはいないものの、レオの反応からすると相当薄着だったに違いない。
今回の場合、どちらが悪いとは言えぬが相手がまだ子供のレオで良かったと心の底から思った。

レオとAの危機感の無さについてはまた、Aが元気になってから2人まとめて指導する必要があるな。

やる事は山積み、問題も多い。
だがまずは朝食をとり仮眠をしよう。

万全の体制でなければ。
今後もしノゼルと相対した時に支障をきたしては困る。
私もレオも、みすみすAを渡すつもりは無いのだから。

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緋毬(プロフ) - まゆさん» 感想ありがとうございます!今の所いい勝負なのでまだどっちに転ぶかわかりませんね…(笑)私も書いてて楽しいです(*´艸`*) (2019年4月7日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして!私はフエゴレオン様が大好きなので、ぜひそっちとまとまって欲しいです。あぁ……でも嫉妬するフエゴレオン様も見てみたい……(///∇///)ゞ (2019年4月7日 14時) (レス) id: 8902c85bfe (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございますヾ(*´∇`*)ノ頑張ります! (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンプ - 面白かったよ (2019年4月4日 16時) (レス) id: ea5f79410c (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございます、今の所いい具合に進められているので、頑張って走ります(*`・ω・)ゞ (2019年4月4日 9時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緋毬 | 作成日時:2019年3月31日 23時

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