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ーーチラリ
兄上の顔を盗み見る。
確かにいつもより顔色が良くない気がする。
目の下には…装飾で分かり辛いが、うっすらと隈がある。
己は何も、気付けなかった。
(Aは、周りをよく見ているのだな……)
性分…生来のものなのか、確かに彼女はよく気が回る。
誰もが気にも留めないような事にさえ気付くのが彼女だ。
『いえ、ただ何となく “そう” かなって。』
よく耳にするAの言葉。
周りに気を配り、些細な事にも真っ先に気付く。
生活の上でだけでなく例えば巧妙に仕掛けられたトラップだったり要参考人の嘘だったり。
それで幾度となく救われた事を、レオは思い出す。
Aは自分を並だと評価しているが周りは彼女の非凡さにうっすら気付いている。
フエゴレオンに関してはAの事を気に入っている理由の一端であるのだ。
(A、大丈夫だろうか)
部屋への立ち入りについて兄に叱られながらも、レオは先程部屋に送ったAを思う。
自覚した事で更に熱が上がったのか、部屋に着く頃には足取りもフラフラ覚束ない様子だった。
いつもシャンとしている姿しか見た事がなかったので余計に心配が先立つ。
「レオ、朝食をとりに行くぞ。」
「…ハッ!承知しました!俺も参ります!」
ふいに掛けられた兄からの誘いに、思考の渦へ陥っていたレオが我にかえる。
顔を上げれば苦笑いの兄が目の前に居て、すぐにでも部屋を出そうな体制である。
「……心配か?」
「兄上……。」
見透かしたかのようなその問いに、レオはまたしても項垂れながら小さく頷く。
「私も心配だ。朝食を食べ終えてから腹に優しそうなものを持って行ってくれるか?今は任務がそう多くはない。レオも元々非番だろう?」
その提案にバッと顔を上げて兄の顔を見る。
そうだ、自分は昨日の内に本日の非番を言い渡されていた。
早朝から訓練へ勤しもうと、早起きをしていたのであった。
「それは名案です兄上!粥でも持って様子を見てくる事にします‼」
言いながらも心は逸り体が動く。
今にも部屋を飛び出さんばかりの己に、兄は少し声を上げてこう言った。
「落ち着けレオ!先に自分の食事をするのだぞ‼ 厨房へは声を掛けておくから、出来上がり次第行けばよい!」
「ハッ!そうですね!まずは朝食っ‼ 」
やれやれ。
そう言いたげに肩を竦めて弟の後を追うフエゴレオンであった。
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緋毬(プロフ) - まゆさん» 感想ありがとうございます!今の所いい勝負なのでまだどっちに転ぶかわかりませんね…(笑)私も書いてて楽しいです(*´艸`*) (2019年4月7日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして!私はフエゴレオン様が大好きなので、ぜひそっちとまとまって欲しいです。あぁ……でも嫉妬するフエゴレオン様も見てみたい……(///∇///)ゞ (2019年4月7日 14時) (レス) id: 8902c85bfe (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございますヾ(*´∇`*)ノ頑張ります! (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンプ - 面白かったよ (2019年4月4日 16時) (レス) id: ea5f79410c (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございます、今の所いい具合に進められているので、頑張って走ります(*`・ω・)ゞ (2019年4月4日 9時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋毬 | 作成日時:2019年3月31日 23時