episode42 ページ43
置かれた紙には、麻薬、武器等々の取引の内容が記されていた。それは全て違法なもの。奴が、黒川がやっている悪事のほんの僅かな罪状だ。
松「これは俺が調べ上げた奴の資料だ。だが、これだけじゃ証拠にはならねぇ」
あ「確かに、危険を冒した割には簡単に隠蔽される程しかない。自分の寿命を悪戯に減らしただけだね」
松「影と黒川が繋がってたのは分かってる。そこでだ。お前が引き金となって、奴の本性を暴き出して欲しい。これは取引だ」
あ「断る……と言ったら?」
松「奴にお前を差し出す、か。どうせ消せねぇ罪状をお前も俺も被せられちまった。だったら、お前に被せちまっても問題はねぇだろ」
あ「その前に私がお前らを消すけどな」
松「言っとくが、俺はお前と殺り合うきはねぇ。黒川にハメられた同士、手を組んでやり返そうって言ってんだ」
あ「それは同時に新選組の崩壊も意味するが?」
松「そんな簡単に壊れる組織じゃねぇが、そうなったらそれまでの組織ってこった。そんな奴らに、この街は護れねぇ。この件を引き受けねくれるんなら、お前のことは黙っててやる」
私はしばらく黙った。松平に事情を知られている時点で、こちらが不利なのは明白。だが、奴を消す条件としては悪くはない……駒にされるのはうんざりだが。
あ「良いのか?金のためなら手段を選ばないと言われてる一族。その生き残りと手を組んで」
松「それは所詮、黒川の情報だ。こうなった以上、奴からの情報は信用できねぇ。もともと、俺は自分の目で見たことしか信用しねぇしな」
黒川が近々来ると言っていた日までは、問題を起こさずに過ごしたい。目的が一致してるなら、ここは乗るしか……手はない、か。
あ「……良いだろう。取引に応じる。あんたの筋書きにのってやるよ」
松「ふん。言ってくれるじゃねぇか。だがな、恐らくあいつもお前の正体に気付いてる。せいぜい気をつけろ」
あ「ご心配なく。というか、気をつけるのは貴方の方だ。私の目的は一族を殺した奴らを私が消し去る事なのだから」
松「あいつを信用したばっかりに招いた結果だ。俺も含めて事が起こったなら、落とし前は自分でつけさせる」
厳しい言い方だが、新選組を大事にしているからこその物言いだろう。
あ「それでは、結末はどうなっても恨みっこは無しですよ?私も譲れない物がありますので」
松「あぁ期待してるぜ。せいぜい足掻くこった」
きっとお互いに悪い顔をしている。そんな事を思いながら松平を見送った。
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年3月16日 16時