episode38 ページ39
今日は朝から屯所内は蜂の巣をつついたように大騒ぎしていた。なんでも、長官である松平から連絡が入ったそうだ。
松「30分後に、お前らんとこ行く。茶菓子とAを用意しとけ」
という命令つきで。私が顔合わせなければいけないのはいつものことで慌てる必要は無いが、茶菓子は丁度きらしていた為、買いに行ったりと仕事じゃないことで忙しかった。
近「ギリギリ間に合ったな」
一部の隊士は走り回ったせいで顔色が悪くなっているが、時間内にどうにか会議室へと集合できた。
土「ったく、何でこんな事しなきゃならねぇんだ」
近「気まぐれだもんなぁ、とっつぁん」
あ「いったい何の用なんでしょうか」
総「どうせまた変な仕事で何じゃねぇですか?それか、大事な元秘書の姉さんの様子を見にってところでしょ?」
土「あり得るな……」
隊「え!?姉さんってとっつぁんの元秘書だったんですか!?」
総悟と土方はしまった、という顔をした。
別に隠すことはないのだが、この事は伏せて新選組に就いたため知っているのは限られている。
あ「その話はこれが終わった後に説明しますから」
総「ま、今更隠しても意味ねぇでしょうしね」
土「どうせなら、とっつぁんに説明してもらうか」
あ「そもそも、隠すこともなかったんじゃないですか?」
総「親心みてぇなもんでしょ。偉いポジションについてた奴がここにくるなんざ、なに言われるかわからねぇし、俺達みたいなバカは頭の良い奴は嫌いなんでねィ」
近「とっつぁんもAちゃんには弱いよなぁ。わざわざ様子を見に来るなんてよ」
あ「さすがにそんな事で全員を集めないと思うんですけど……」
なんて呑気な話をしてると、廊下の方から足音が近づいてくる、隊士が襖をガラリと開けるとそこには警察庁長官、松平片栗粉が立っている。
グラサンにくわえ煙草姿はいつ見ても長官とは言い難いものだ。
松平が座り緊迫が増す。ゴクリと生唾を飲み込み、手には汗が滲んでくる。
松「A〜、元気だったか〜?全然連絡くれないから、おじさん寂しかったよぉ〜?」
突然の甘えたような声。その場にいた全員が愕然する。
あ「すみません。忙しい長官のお邪魔をしては悪いと思って」
松「そんなこと気にせずに連絡してくれよぉ〜。おじさんこんな男ばかりの所に置いておくのが心配で心配で」
あ「皆さん優しいですよ」
松「優しくても男は獣なんだよ?気をつけないとパクッと食われちまうよぉ?」
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年3月16日 16時