episode３３ ページ34
お茶を飲み終えるとようやく落ち着きを取り戻し始めてきた。
我ながら、動揺が凄かったと思う。総悟に気付かれていないかが、最大のネックだ。気づかれていたとしても、恐らくは真理はバレてはいないはずだが……どうにも不安は拭えない。
残りの団子を頬張る。きっと美味しい団子だろうに、今は甘ささえ感じない。
ご馳走さま、とお代を置いて帰ろうと帰路を見ると、眉間にシワを寄せ煙草をくわえた土方がこちらへ向かってやって来る。気のせいだ思いたかったが、視線が完全に向いている。
あまりのタイミングの悪さに置いてある湯飲みを投げたくなった。もちろん、そんな事は出来ないので代わりに心で舌打ちだ。
土「おい、お前までさぼってんのか？」
あ「あ、すみません」
土「総悟のやつがどこいったか知らねぇか？」
あ「一緒にいましたけど、先に帰しました」
あまりの素っ気なさにか土方は怪訝そうな顔をした。
土「何があった？」
あ「なんもないですよ。土方さんはどうしてここに？」
土「あのバカが書類を出さねぇから、連れ戻しに来たんだが、どうやら無駄足だったみたいだな」
土方が溜め息と一緒に紫煙を吐いた。いつもなら笑って答えるが、今は出来そうにない。目を会わせてはいけないと、直感が告げている。
土「おい、本当にどうしたんだよ」
あ「なにもありません」
土「なにもなかったらそんな顔しねぇだろ！」
あ「…………どんな顔してますか？私」
土「顔色が善くねぇ。というか、赤いな……まさか、熱でもあんのか？」
熱だったらどんなに良かったか……こっちの気持ちも知らないで、いけしゃあしゃあとよく言えるものだ。
もういいや。適当に答えてさっさと逃げよう。
あ「あー、そうかもしれません」
土「何でそれを言わねぇんだよ！倒れたらどうすんだ」
しまった。これは厄介な事になる気がする。どうする……いつものように誤魔化せるか。えぇい！やってみるしかない！
あ「なぁーんて、じょう……」
土「来いッ！」
問答無用で土方に腕を捕まれ、半ば引きずられそうな勢いだ。
あ「ちょ、離して下さい！」
土「良いから黙って歩け！病人が」
結局そのまま屯所についてしまい、努力も意味がなかった。
着くなり早々、寝ることを命じられた。隙をついて抜け出そうとしたが目敏く土方に見つかり、とうとう土方は私の部屋の机で監視をしながら書類をする事となり、こちらとしては良い迷惑だった。
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作者名：暇人の甘党 | 作成日時：2016年3月16日 16時
