episode23 ページ24
他愛もない話をしながら朝食も半分くらいを食べ終わった頃。
煙草をくわえた土方が食堂へやって来た。その顔はいかにも機嫌が悪い、と言わんばかりだ。
近「おぉ!おはよう、トシ!遅かったなぁ」
土「あぁ、ちょっとな」
総「おはようごぜィやす。まだ生きてたんですかぃ?なかなか来ないから、てっきりくたばったのかと……」
土「お前はどんだけ俺を殺してぇんだよ!」
総「あらら。愚問ですねィ」
総悟と土方は相変わらず言い合いを繰り広げている。私は今の内だと思い、残っている物を口の中に押し込めて、お茶で流し込む。
飲み込んでしまえばこっちのものだ。食器を片付けるタイミングさえ間違えなければ良い。
そおっと立ち上がり、その場を去ろうとしたその時だ。ドンッと背中に誰かがぶつかった。
嫌な予感がするも無視することは出来ない。まるで壊れかけたカラクリの様に後ろを振り向けば、案の定ぶつかってきたのは土方だった。
あ「お、おはようございます。土方さん」
土「あ、あぁ」
ぎこちない挨拶を交わせば、ドSの総悟が見逃すはずもない。
総「おや?お二人さん。なんかあったんですかィ?そんな変な反応して」
あ「ないもないよ!ね!?土方さん!」
土「た、たりめぇだ!いつも通りだ!」
近「なんだ?喧嘩でもしたのか?」
あ「だから、何もないですって!」
総「何もないようには見えませんねェ。姉さん、野郎に何かされましたかィ?」
総悟のその言葉に食堂にいた隊士までもがこちらを見ている。
せっかくの温かいご飯なんだから、さっさと食べなさいよ!と心では叫ぶが、もちろん口に出すことはない。というか、この状況でそんな勇気はない。
周りからの視線に囲まれ、どうしようもなくなり、段々と思考がパニックへと陥っていく。
そうなった人が起こす行動は既に冷静ではなく……
あ「本当に何もないので変な詮索または妄想、及び噂は禁止です!これに背いた人は……」
土&あ「切腹だ!/です!」
見事なまでのハモリ。
その後すぐさま食堂を出て行った私達は、その後の事は知らない。
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年3月16日 16時