episode21 ページ22
土方side
Aが部屋を出て行った後。
山崎に朝イチに取りに行くから今日中には終わらせて欲しい、なんて言うふざけた書類を机の上に無造作に置き、寝る支度をする。
あれだけ手がかりがなかった辻斬り事件。突如、沸いてきたように出てきた証拠やら、共通点。
──どこか引っかかる。
あまりにも不自然だ。山崎を疑うわけじゃねぇが、何者かが意としてやってる、そんな気がしてならない。
まぁ、今は考えても仕方ねぇか。どの道、敵に対して容赦をするつもりは毛頭無い。
俺は布団に潜りすぐ眠る……つもりだった。
今度、頭に浮かんできたのは事件の事ではなく、Aの事だった。
危ねぇ……まさかあんな事になるなんて誰が予想するかよ。危うく理性が吹っ飛ぶとこだった……
女に……特にあのAに手だした、なんて他の奴に知れたら俺の立場がない。いや出してねぇけど!
あれは不可抗力だから仕方ねぇ。そう、事故だ、事故。
………バレてねぇよな?
思わず抱きしめちまったが、大丈夫だよな?
あいつも慌ててたし……うん、大丈夫だ。そうにちげぇねぇ。こんな時間まで起きてる奴は居ても、ここにくる奴は居ねぇからな。
明日からどう接すりゃ良いんだ?気まずくてしょうがねぇぞ……
そんな葛藤があったことは誰も知る由はなかった。
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作者名:暇人の甘党 | 作成日時:2016年3月16日 16時