ハロー＠ディストピア． (ページ5)

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＠ページ5

「あかんわ。どこもかしこも止まっとる」

「こっちもだ･･･水道から出てる水までご丁寧に止まってた」

「そう･･･。僕の方もおんなじや。
日常風景が、切り取られたみたいに綺麗に止まってた」

「動かそうとしてもダメやったわ〜･･･カッチカチなってん！」

人間界に来てどれくらい経ったか。

４匹はAから案内された扉をくぐって、それぞれ見覚えのあるいつもの場所をぶらついていた。
でも、どこも全て同じ。時計は７月２日日曜日午後０時丁度で止まっていて、街中にあるモニターやディスプレイの映像全ても一時停止したように止まっている。機械を操作しようとしても、うんともすんとも反応しない。
果ては空中で葉っぱや鳥までもが滞空したままピクリとも動かない。

「･･･ほんまに、止まってるんですね。
時間も。人も。動物も。自然も･･･」

「っくそ、どうなってんだよ･･･なんでこんな･･･」

「でもさ、よく漫画とかである「トリップしたら元の世界に存在すらしてなかった」とかやなくて良かったやん！」

「･･･坂田にしてはさらっととんでもない事言うやん。
まあ･･･確かにそうやな。ＣＤショップとかに俺らのＣＤ置かれてたし」

「この様子やと、身内が僕らの事忘れてました〜なんて事はないやろね」

「･･････そう、だな。
けど、そうなってくるとなんで俺ら･･･動物になって怪我してたんだ？」

たぬきの言葉に、３人は黙った。

自分達が居た世界に、ちゃんと存在していたにはしていた。
だが･･･犬が言ったようにもし仮に自分達がトリップしたと言うなら、なぜ人間の身体のままではないのか。

考えても考えても答えが出てこない。

「･･･あー･･･これから、どうする？」

「どうするって･･･取り敢えず、魔界･･･に戻るしかないだろ。
こっちの時間は止まってても、あっちの時間は普通みたいだし」

「･･･そうですねぇ。
ひとまず魔女さんに頼み込んで僕らの住める所を探して、生活出来る所を探さんと」

「え、魔女さんの家に住まわせてもらえばええんやないの？」

のほほんと言い放つ犬。
犬ののんきとしか言いようがない言葉に、３匹は固まった。固まったと言うより、「マジかこいつ」みたいな目で見た。

確かに怪我も手当てしてくれて、ご飯まで作ってくれたが･･･住むとなると話は別だろう。

取り敢えず４匹は、魔界へと戻って行った。