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近寄ってくるキノに動じる事無く、Aはただ無反応にキノの言葉を待った。
そして距離がいよいよ近くなりAの肩に手を添えてキノが耳元に口を寄せる。
どこぞのバーに居る男女のワンシーンを切り取ったかのように見えなくもない。しかもAは容姿で言うなら美女、キノは美形。
映画のような光景に思わず2人の姿に固まる4匹。
キノ「・・・・・・、してくれる?」
だが肝心な要件は4匹に聞こえず、一方の要件を聞いたAはキョトンとキノを見返す。
動物の耳に聞こえないように喋るとはさすが吸血鬼。
A「・・・別にそれくらいなら口止め料みたいな真似しなくてもやるのに」
キノ「それだと僕がただ単に君になんでもかんでも都合のいいようにやらせてるみたいで嫌なの。ほら、僕も一応吸血鬼だし」
A「建前上、か。
・・・わかった。それじゃ・・・そうだな、明後日には完成させてそっちに行くよ」
キノ「そう。
じゃあその時にカラスも用意しておくよ」
A「ん」
キノ「さて・・・と。
要件も済んだしここでAの血を吸えたら最高なんだけど・・・」
センラ「・・・・・・・・・(睨)」
キノ「狐が怖いし、やめておくよ。
って言っても
「じゃ、またねA」と言ってキノは書庫を出て行った。
そして一方のAは何事も無かったかのように「さて」と呟いて4匹の方を向く。
その時だった。
センラがフラフラとし始めて、Aの足元にぽてんと擦り寄った。
A「ん・・・どうした、センラ」
センラ「・・・・・・キノくんばっか、ズルいわぁ。
センラの事も、構ってや・・・」
志麻「あかん、センラくんがおかしなった()」
A「・・・・・・・・・ふむ・・・」
スリスリして甘えてくるセンラの様子をジッと見るA。
さっきまでは普通に喋っていた。そう言えば、キノと喋り始めた時くらいから少し様子が変だった気がする。少なくとも、Aと読書をしていた時は普通だった。
おかしくなる原因が何かあったとしたら・・・Aがセンラ達が正式名称はどんな動物になったのかを調べる為に人間界の動物全書を探しに書庫の奥に行って、うらた達が全員集合していた間。
様子を見ている間にも、センラはまるで母親に甘える子供のように甘えてくる。普通に可愛い。
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作者名:暇犬 | 作成日時:2018年5月29日 22時