白い譜面に音符を【歌い手】 (ページ7)

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１曲目は、花鳥風月。
和風ロックテイストで、かっこいい。

上の方にある画面に、彼らの名前と･･･イラストが出る。ＭＶ･･･だろうか。

茶髪で緑の目で肩にやまだぬきを乗せてるのが、うらたぬきさん。
紫の髪で左目の下にホクロがあるのが、志麻さん。
赤髪で前髪がＶ字になってるのが、となりの坂田。さん。
金･･･黄色？の髪で右側の髪がちょっと長いのが、センラさん。

とにかく、キラキラしてる。
まだ１曲目なのに･･･聞いてて鳥肌が立った。

A「(凄い･･･凄い･･･！)」

私は夢中で、ペンライトを振った。

ライブには初めて来たけど、彼らの事を何も知らないわたしでもすぐに夢中になれた。

うらたぬきさんと志麻さんのセリフの所でドキドキした。
恋心とかじゃなくて、普通に惹き込まれた。

その後もまだまだ続くライブ。
２曲目は出会いがない!で、一層盛り上がった。
３曲目、４曲目･･･と、私なんかには勿体ないくらいに凄いステージが進んでいった。

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トークも交えて、１０曲くらい続いた。

４人全員が舞台から掃けて、画面に事前に撮ったものらしき映像が表示される。

周りのお客さんが座り始めて、私も着席する。

A「(ふぅ･･･。
･･･ライブって、疲れるな･･･。
でも･･･その分、すごい楽しい)」

映像を見上げながら、自然と私の口角が上がるのが解った。

映像を見ながら、改めて〝普通〟を羨ましく思えた。

思い思いに喋れるみんなが。

堂々とステージ上で輝ける彼らが。

A「(ひどく･･･羨ましい･･･)」

ぐるぐると、自分の中で黒く醜い感情が渦巻く。

なんで、私はこの顔なの？
なんで、私はこの声なの？
なんで、私は･･･普通じゃないの？

･･･こんな自分が嫌いで嫌いで、仕方なかった。

お父さんとお母さんは「AはAらしく居ればいいんだよ」と言ってくれた。
･･･けど、私は自分がなんなのかがわからない。

女の子の顔の通りに、女の子で居ればいいの？
男の子の声の通りに、男の子で居ればいいの？

女の子で居ようとしても、「Aさんって、声男みたいで変だよね」って言われて。
男の子で居ようとしても、「ふざけてるの？マジメにやってよ」って言われて。

自分が･･･わからないよ･･･。