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1.目覚め ページ3

Aside

ぽたっ、ぽたっ、ぴっ、ぴっ
ゆっくり、重い瞼を押し上げる。
見慣れた白い天井、かぎなれた薬品の香り、聞きなれた俺を縛る機械の音
あぁ、まだ俺はこの世界に繋ぎ留められているのか。
きっと、悟が俺を怒りに来る、また、苦しい日常が繰り返される
サー、という音を立ててカーテンが開けられる。
ケーブルにつながれて動かしにくい首をゆっくりとカーテンのほうに向ける
そこにいたのは、悟…ではなくしょーこだった。

「起きたのか、体調はどうだ?」

いつもと同じように声をかけられる。
俺は"大丈夫です"と答えたつもりだった。
だけど口がはくはくと動くだけで声は出ない
そんな俺を見たしょーこはノートとペンを持ってきてくれた。
俺はそれを受けとり力の入らない左手で
"だいじょうぶです"
と書いてしょーこに見せた

「そうか、もうじき悟が来るよ」

そう一言言ってしょーこはカーテンを閉めた
コツ、コツ、とヒールの音が鳴る
悟に、会いたくないな
だって、だって、会ったらきっと…
そう思った瞬間じわっと目頭が熱くなった
視界がぼやけてゆらゆら揺れる
ほほを伝う生暖かい液体をそのままにしてぼんやりと天井を仰ぐ

きっと、大事なのは俺じゃない、大事なのは俺の術式
こうやって延命してるのは、俺の術式が大事だから
俺のこと見てくれてたわけじゃない、
それはきっと俺の迷信
し.ぬ直前は意外にそんなことを思うのだと、
そう思った
酷い勘違いだと、つい自嘲がこぼれた

『おれ、なんて…はやく、……いなく、なっちゃえ、』

そんな言葉が、乾いたのどから零れた
がらがらに干からびた震えた声が
部屋に響く
自分から意識したとたんまたぼろぼろと涙があふれる
それをごしごしと力ずよくこする
目元がひりひりとする
ふわりと甘い香りがして反射的に顔を上げる

「こ〜ら、そんなにこすっちゃダメでしょ?」

そこには、苦笑いをしながら俺の腕をやさしく掴む

悟がいた

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2006.yuna.0215@gmail.com(プロフ) - 傑と呪霊くんの話できればめっちゃ見たいです…!話の展開とても面白かったです! これからも応援してます! (2021年4月27日 0時) (レス) id: ef870bb2d1 (このIDを非表示/違反報告)
じんべーざめ - 異端さん» ありがとうございます!もっと更新ペースを上げられよう頑張ります! (2021年4月2日 18時) (レス) id: 9453f9490a (このIDを非表示/違反報告)
異端(プロフ) - 更新いつも楽しみにしています!!頑張ってください! (2021年4月2日 15時) (レス) id: 22d2735c29 (このIDを非表示/違反報告)
じんべーざめ - 雪マカロンさん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月2日 21時) (レス) id: 303ca42184 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年3月1日 22時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じんべーざめ | 作成日時:2021年2月18日 18時

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