資料 ページ13
階を上がって真っ先に目に入ったのは男女二人。
赤いスーツに丸々とした体を押し込んだ後ろ姿は恐らくホムラ、
しかし細身の青いスーツに身を包む女性には見覚えがない。
よく見れば二人の奥に怯えた研究員らしき人影が3つほど見える。
「数字を並べれば騙されるとでも思ってるの！？いい加減に……！」
「……いい加減にすんのはアンタら」
思わぬレイラの声に口を閉ざして女性が振り向く。
先程から階下にも聞こえていたのは彼女の声らしい。
見ればホムラもレイラを見据え、小さく舌打ちをした。
「まぁた君ですか……生意気なチャイルド」
「アタシは休みたいだけ……アンタらが煩いんだよ」
ボールを手にするレイラを前に、ホムラと女性も身構える。
と、
「け、研究資料を返せぇっ！」
ひ弱な声と共に背後の研究員が、資料を手にした女性に突っ込んで行く。
しかし華麗にかわした彼女の強烈なビンタが研究員の頬を襲った。
「助手くん！」
ぎゃふん、と絵に描いたような声をあげてうずくまる研究員と駆け寄る彼の同僚を横目に女性は口を開く。
「銀髪に紅い瞳……アンタがアオギリの言ってたガキンチョって奴ね」
「……アンタもやっぱアクア団か」
「その通り。アタシはイズミ、アクア団の幹部」
ご丁寧に名乗ったイズミは、冷静さを取り戻したのかモンスターボールをボディスーツにしまう。
「正直、オコチャマとやりあってる暇はないのよ。ここに書いてあることが本当なら……」
語尾が徐々に小さくなる彼女の様子に、ただ事ではないとレイラも眉を潜める。
「マツブサ様の手助けのための情報を集めた結末がこれですか……アクア団にチャイルドも現れ、ワタクシはいらいらがマックスなのですよ！」
ホムラが手に持った資料を床に叩きつけると、先程とは別の研究員がそれをこそこそと拾い集めていた。
「……んじゃ、アンタらはここから大人しく立ち去ってくれんの」
「今回ばかりは時間が惜しいのでね。本来であれば貴女もイズミもぶっ潰してやりたいくらいですが」
「それはアタシの台詞よ。けど、急がないと手遅れになる」
メッシュの入った髪をかきあげ、イズミも資料を机に叩き付けた。
口を開いた二人はボールをしまうレイラの横をすり抜け、階段へ姿を消す。
「た、助かったよ……」
ゆっくりと研究員たちの方へ歩みを進めれば、所長と名乗る男性がレイラに頭を下げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
CrazyBook(プロフ) - 麗音さん» コメントありがとうございます！お返事がすごく遅くなりました……。「更新してたらラッキー！」くらいの気持ちで気長にお付き合いください！ (2020年12月23日 22時) (
レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 初コメ失礼します！面白くて一気に読んじゃいました！更新ゆっくりで良いので頑張ってください！ (2020年8月13日 14時) (レス) id: 5c11d46da4 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ＊rooさん» 返信が遅くなってしまい、ごめんなさい。隙あらば小説を書くので気長にお付き合いくださいね！＊rooさんもお身体に気を付けてくださいね。 (2020年7月24日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
＊roo - おおっ！久し振りに投稿ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!健康に気を付けて下さいね！！！(唐突) (2020年4月14日 23時) (レス) id: f778e9ffde (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - あるりかさん» コメントありがとうございます！あるりかさんも身体に気を付けてお過ごしください。私はできるだけ更新を頑張ろうと思います！ (2020年4月13日 22時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年9月5日 0時
