何者か ページ11
二人とラティオスが森を抜けて島の入り口で待つラティアスと合流し、元々いた海辺に送り届けられるまでに多くの時間は要さなかった。
何とも聞き心地の良い鳴き声と「ありがとう」のハグを残し、二匹の姿は空の彼方へと消えていく。
「……じゃあ、さよなら」
あっと言う間の出来事に浸っているのも束の間、ここぞとばかりにレイラはダイゴの元を去ろうと歩き出した。
「あぁ、そうだ。これを君に」
焦ることもなく彼女を呼び止め、ダイゴはあるものを差し出した。
恐る恐るレイラが受け取ったのは虹色を閉じ込めた石。
内部には何やら黒い模様が浮かんでいる。
「それはキーストーン。さっき島で説明したメガシンカに必要な石さ」
「けど、アタシのポケモンに……メガストーンは無い」
キーストーンを返そうとする彼女の手に、ダイゴはもうひとつの石を乗せる。
その石は黄色みがかっており、中にはキーストーンに似た形の紋様が浮かんでいた。
「確か君のパートナーにギャラドスがいなかったかな。ツツジちゃんからそんな話を聞いたんだれど」
知ってか知らずか、ダイゴは彼を倒そうと目論むトレーナーに力を与えようとしている。
その力は魅力的だが、力を授けようとする相手が気にくわない。
しかし、兄を倒すことに選り好みはしていられない。
小さく唇を噛むと、レイラは二つ目の石も受け取った。
「バトルをするとき、こっちの石……ギャラドスナイトをギャラドスに持たせておくんだ。君とギャラドスの絆に石が共鳴してメガシンカは引き起こされる。ただ、」
語気が強くなったことに、レイラは思わずダイゴの瞳を見上げる。
「感情に任せたメガシンカはさせないこと。トレーナーにもポケモンにも大きな負担になってしまうからね。
この力が使いこなせるようになれば、もっと強いトレーナーになれるよ。そう、リーグチャンピオンに勝てるくらいにね」
恐らく、
恐らくダイゴは気が付いている。
目の前のトレーナーが何者で、何を望んで旅をしているのかを。
ぶっきらぼうに頷きながら、レイラの脳裏にそんな考えがよぎった。
今度こそ、と去ろうとした背中に再びダイゴの声がかかる。
「ラティオス達にはヒトの記憶を読み取る力があるんだ。
君のどんな記憶でラティオスは納得したのかな？」
振り向くことも答えることもしない。
レイラの足が再び動き始めた。
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CrazyBook(プロフ) - 麗音さん» コメントありがとうございます！お返事がすごく遅くなりました……。「更新してたらラッキー！」くらいの気持ちで気長にお付き合いください！ (2020年12月23日 22時) (
レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 初コメ失礼します！面白くて一気に読んじゃいました！更新ゆっくりで良いので頑張ってください！ (2020年8月13日 14時) (レス) id: 5c11d46da4 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ＊rooさん» 返信が遅くなってしまい、ごめんなさい。隙あらば小説を書くので気長にお付き合いくださいね！＊rooさんもお身体に気を付けてくださいね。 (2020年7月24日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
＊roo - おおっ！久し振りに投稿ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!健康に気を付けて下さいね！！！(唐突) (2020年4月14日 23時) (レス) id: f778e9ffde (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - あるりかさん» コメントありがとうございます！あるりかさんも身体に気を付けてお過ごしください。私はできるだけ更新を頑張ろうと思います！ (2020年4月13日 22時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年9月5日 0時
