弱い？だから何？〜3〜

戦わずして ページ23

何の反応も見せることなく、レイラはもう１つボールを放った。

ポン！

「ヒヤママッ！」

再び現れたのはヒノヤコマ。

彼を肩に止まらせ、ギャラドスと共にホムラを見つめるレイラ。

ホムラの背後には、火山の火口にはみ出すように作られた足場が見える。

そしてその上には人影も確認できた。

「リーダーに会っていただく前に私と戦ってもらいましょうかねぇ！」

ニヤニヤと笑うホムラはボールを取り出した、

筈だった。

気が付けば、彼のハイパーボールは何故かレイラの手元に。

「な、な！？」

戸惑いを隠すこともなく、顔全体、いや体全体で動揺するホムラ。

そんな彼を火山も凍りそうな程冷たい目で見つめると、レイラはボールを足元に置いた。

「……前戦ってアタシが勝った」

戦う意味無くね？と続け、彼女はホムラの横を素通りしていく。

「アンタのボール……ヒノヤコマのスピードなら余裕で盗めた……」

それだけ言い残し、彼女は人影へと歩を進めていく。

「くぅッ……！！」

戦わずして敗北に追いやられたホムラは、奥歯を噛み締めて2、3度地団駄を踏んでいた。









「ホムラを負かしたのか……」

レイラに背を向けたまま、男は口を開いた。

「……昨日の時点でな」

律儀に付け足す彼女を、男性はゆっくりと振り向く。

メガネの奥から鋭い眼孔を覗かせ、レイラを見つめる。

赤色のスーツに身を包んだ彼は、小さく「ふむ」と頷いた。

「子供ながらいい目をしているな。私の名はマツブサ、マグマ団のリーダーだ」

抑揚を付けることもなく、機械のように淡々とマツブサは名を名乗る。

彼のメガネの鉉には、見覚えのある虹色の石が埋め込まれていた。

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