れっきとした ページ14
鍾乳洞に、慌ただしい足音がこだまする。
「あ、ありました！」
眼鏡越しの瞳を嬉しげに輝かせる男性、
ことソライシ博士。
「ほぅ、これが隕石ですかな？」
恰幅のいい体を赤いスーツに押し込み、細い目を線にする男はソライシ博士の腕の中を見つめた。
そこにはゴツゴツとした表面の岩が１つ。
それをソライシ博士は壊れ物を扱うかのように、大切そうに抱えていた。
赤スーツの男の右隣には小柄な女がいる。
彼女がソライシ博士へ向ける視線は冷たい。
「いい大人が何をしてるのか」とでも言いたそうだ。
「隕石の調査へのご協力、ありがとうございました！」
細い体を折り曲げて礼をする彼に、男は口を吊り上げるように笑みを浮かべた。
「ウヒョヒョ、礼には及びませんよ。つきましては……
その隕石を我々に譲っていただきたいのですがねぇ？」
それを聞いたソライシ博士の顔が強ばった。
「な、何を仰っているんですか貴方は……？ここの調査を手伝うだけと……」
「えぇ。ですが、こちらにも事情がありましてねぇ……何の為に特殊な装置をお貸ししたとお思いで？」
黙りこんだのを良いことに、男はジリジリとソライシ博士に詰め寄る。
「現在の我々の装置では、隕石は探せど純度は見極められませんのでねぇ……そのために貴方を利用したに過ぎません。
それがここの最高純度の隕石なのでしょう？」
初めて見えた男の鋭い瞳に、彼は思わず小さな悲鳴を漏らした。
が、
「わ、私だって……れっきとした隕石の調査者です！この隕石は私が見つけたもの……お貸しするならまだしも、差し上げることはですません！」
震える体から発された声は、鍾乳洞に響きわたった。
「やれやれですねぇ……
痛い目を見なくては理解できないのでしょうか？」
スーツのポケットからモンスターボールを取り出した男と女から、慌てて距離をとろうとするソライシ博士。
しかし、
自らの足で縺れ、見事な尻餅をつく。
アワアワと瞳を揺らし、彼は思わず隕石を抱えてうずくまった。
その時、
「やめろお前ら！ソライシ博士から離れろ！」
入り口の方から声変わり前の怒鳴り声が飛ぶ。
一同が見ると、そこには２つの人影が。
「ウヒョヒョん？チャイルド二人が何の御用ですかな？」
男は丸顔を歪め、面倒そうに二人を睨み付ける。
「……アンタ達、邪魔」
小さくもドスの効いた声でそう呟いたのは、
前髪の間から相手を睨み返すレイラだった。
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CrazyBook(プロフ) - コメントありがとうございます！本当に気長にお待ちください。 (2019年8月12日 9時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - この作品好きです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2019年7月18日 16時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - かしわさん» コメントありがとうございます！完結するまで更新し続けますので気長にお付き合いください！ (2019年3月24日 21時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ - この作品好きです。更新頑張って下さい。 (2019年3月23日 1時) (レス) id: 356d08c55f (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ルインさん» コメント、ありがとうございます！嬉しい限りです！これからも気長に読んでください！ (2018年7月19日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2018年3月28日 22時
