御92様が江戸に来た様で。

第一訓 ページ1

｢……ここは…江戸…？なのでしょうか…」

周りを見ると、懐かしの着物等を着た女性、男性が多く見られる。

「おい菊。でもお前のとこにあんなん居たか？」

アーサーさんが指さす方向を見る。

「いやぁ……私の記憶では見かけたこともありません。」

私は、空を見上げたままアーサーさんにそう返した。

空に飛ぶのは、江戸時代にそぐわない近未来的機械……でしょうか？見たこともないようなものです。

(あれが空ではなく、地面で動いてあれば、今すぐにでも駆け寄って調べるのですがねぇ…)

｢はぁ……｣ため息を漏らすと、アーサーさんがこちらに目をやった。

｢……ここに居たって仕方がありません。見慣れた場所に着くまで歩きましょうか。」

見慣れた場所になんか着くわけがない。そんなことは分かりきっていることだが、今はこの視線を何とかしたい。

そのことを察したのであろう、アーサーさんも｢そうだな。」と賛成してくれた。

私はまだ着物なのでいいが、問題はアーサーさんである。ここでは珍しい髪色や瞳、そして服装。

綺麗なのは綺麗なのだが、やはり江戸時代には合っていない。

(さて……服はどうしましょうか…？)

そう考えていると、紫色の傘と大きな白い毛が目に入った。

無意識に気になっていると、｢…なぁ菊、あれはなんだ？」とアーサーさんから質問が

そんなこと言われても私に分かるわけがないじゃないですか…と心の中で小言を言いつつ、

｢…さぁ？何でしょうか…少し近寄って見てみます？｣

と誘うと｢あぁ、少し見てみよう。」と返ってきた。

まぁ、私も気になっていたので、少し早足になりつつも行く。

そう遠くはなかったのですぐにその白い物体は見えた。

犬だ。

後ろ姿なので、あまり分からないが、それは確かに犬だった。

｢でけぇ…こんな犬見たことねぇぞ、、、｣

アーサーさんもやはり驚いており少し引いているようだった。

｢え、えぇ。私も見たことがありません、、｣

犬も勿論気になるのですが、私はそれよりこんなでかい犬を飼っている隣の人に気になってしまった。

見た目10代前半の様だが、左手には傘、そして服はチャイナ服を着用していた

こんな小さな子がこんな大きな犬を、、

穴が空きそうなほどガン見していると、飼い主がこちらをむいた

真っ青な瞳と赤とオレンジ…どちらとも言えそうにない髪が風と遊んでいる

そして、私たちに向かって一言

｢…テメェらさっきからなに見てんだヨ！！気色悪いネ！！｣

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