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side S.Daiki
中「…落ち着いた。」
重「……。」
中「…しげ、こしょばい。」
淳太の、疑問符の付かない物言いは酷く俺を安心させた。
えも言われぬ気持ちが込み上げてきて、淳太の腹に頭を擦り付ける。
笑いはしないものの、本当に擽ったいのか身を捩る淳太に、笑みが零れた。
重「…なぁ、淳太。もし、家族やと思っとった人が
赤の他人やったら。淳太はどうする?」
自分の疑問を初めて口にしたことで、現実味が増した。
俺の記憶は、間違っているのかもしれない。
だとしたら俺はどうしたらいい?
今まで俺のなかで生き続けてきたオトン、オカン、姉ちゃんが、俺の妄想だとしたら。
俺は、どうしたらいい?
中「…俺、やったら…自分が納得いくまでとことん
調べる。」
重「え?」
中「…ちゃんとした根拠がないなら、俺は信じな
い。あ、しげとか、照史とか、皆の言うことは
別。」
確かに、ちゃんとした根拠はないな…。
新聞に載っていた名前は、俺だけが“重岡”という苗字だった。
オトンとオカンと姉ちゃんは、“齋藤”という苗字。
無理があるかも…やけど、何かの間違いだと信じたい。
重「ん。…よっしゃ、調べたるわ。
ありがとな、淳太。助かった。」
淳太が来なかったら、いくつもの考えが頭をぐるぐる回って、自滅していたかもしれない。
なんだかんだ言って、淳太はいつも助けてくれる。
中「…ううん。じゃ、また。」
重「おん。」
淳太は静かに部屋を出ていった。
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作者名:百瀬 花楓 | 作成日時:2021年2月28日 17時