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四十七話 ページ49

検問を通り、指定区域外に出ようとする二人の男。

そして、それに声をかける沖田。

男達が足を止める様子を、Aは特に深い意味もなく眺めていた。

強いて意味を持たせるならば、検問の厳しさを確認するためだろうか。

しかし、するとどうだろう。

沖田を前にした男達の顔が、みるみるうちに青ざめていくのが見えた。

沖田が駕籠に手を触れようとすれば、男達は避けるように身をよじる。

「?」

Aが不審に思って、もっとよく見ようと目を凝らした、ちょうどその時だった。

「ヤベェェェ!!何で真選組が!!」

「ばれたらパクられるぞ、急げ!!」

男達は駕籠を抱え直すと、大声で喚きながら、検問を強行突破して一目散に走り出す。

その只ならぬ様子に、Aははたと思い至った。

(まさか、あの駕籠の中に―――)

ならば、すぐにでも追わなければ。

Aは瞬時に身を翻すと、真選組にバレずに男達を追うべく、細い路地に向かって地面を蹴った。

しかし、Aが浮かべたのと同じ男の顔を、沖田もまた思い浮かべたようだった。

走り去る男達の後ろ姿を真っ直ぐに指差し、部下に向かって命令を下す。

「間違いねェ!あの駕籠の中に桂がいる!追………」

瞬間、風が勢いよく沖田の顔を横切り、その言葉尻を奪った。

一瞬空白の出来る脳内。

最初に気づいたのは、それがバイクによるものであること。

次に気づいたのは、そのバイクの上で、長い黒髪がはたはたとなびいていること。

間違いない、桂だ。

沖田は確信に満ちた笑みを、口の端に浮かべた。

桂は真選組には目もくれず、怒涛の勢いで駕籠の男達に迫って行く。

なぜ桂が彼らを執拗に追跡しているのかは疑問だが、そんなことは沖田にとって些末な問題だった。

沖田は腹の底から湧き出る興奮のままに、器物破損常習犯のバズーカを手に取る。

Aの呆れた顔が頭によぎったが、状況が状況だ、仕方ない。

「桂ァァァァァァァァァ!!!!」

どんな言い訳をして困らせてやろうかと画策しながら、沖田はバズーカを放った。

***

轟音と共に煙幕が立ち込める。

Aは首尾よくその中に紛れ込むと、駕籠の方に向かって駆けた。

裏路地から出てきた途端にこれだ。

沖田がまたバズーカを放ったのかと呆れもしたが、今回ばかりは感謝せねばなるまい。

身を隠しながら、真選組が来るより前に駕籠の元に辿り着き、中を覗き込む。

するとそこにいたのは、Aにとって予想外の人物だった。

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作者名:Lea | 作成日時:2020年5月21日 17時

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