【銀魂】光翼鳥の剣：re1 (ページ48)

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四十六話ページ48

その日、偶然にもAは午後からオフだった。

これは土方の仕掛けた罠だろうか。

ちょうど桂が現れたタイミングということで、最初こそ警戒していたAだったが、思い返せば、このオフはかなり前から決まっていた。

土方に予知能力でもあれば別だが、当然そんなことはあり得ないだろう。

神の悪戯とも思える偶然を前に、Aの決断は早かった。

(会いに行こう)

一度決めたら、後は行動あるのみ。

土方に気づかれる前に、と手早く身支度を整えながら、Aは先日の土方との会話を思い出していた。

交友関係に口は出さない、山崎の監視も取り払う。

その代わり、攘夷浪士の捕縛に利用されても文句は言わないし、テロに加われば当然同罪。

これが土方と交わした契約だ。

しかし、この契約には穴があった。

土方は山崎の監視を取り払うと言っただけで、それ以降一切の監視を付けないとは言っていない。

その証拠に、Aはあの日以降も、外出する際に時折人の視線を感じていた。

どうやら、事情を知らない完全な素人に金を握らせて張らせているらしい。

予想はついていたことだった。

そうでもしなければ、Aが攘夷浪士と接触したところで土方が把握できるはずもない。

しかし、一般人に紛れてややこしくはあるが所詮は素人。

尾行の技術そのものは山崎のそれよりよっぽど拙く、撒くのは簡単そうだった。

(土方さんがその気なら、受けて立ちますよ)

何といっても、交友関係については不問だ。

追手を撒いて、必ず桂と再会する。

いかに互いを出し抜くか、腕の見せ所だ。

Aは戦時下に斥候をしていた時のことを思い出しながら、颯爽と屯所から抜け出した。

＊＊＊

沖田が検問を張っているという場所まで辿り着くのに、それほど時間はかからなかった。

Aは建物の陰に隠れながら、道を封鎖する隊士の様子を窺う。

幸い上手く撒いたらしく、追手の気配は感じられなかったが、この検問をバレずに通り抜けるのはさすがに至難の業だ。

いっそ何でもないフリをして、堂々と通してもらおうか。

(……確かこの先に、「北斗心軒」っていうラーメン屋があったはず)

Aは以前この道を通った時の曖昧な記憶を手繰り寄せた。

昼食には少し遅い時間帯だったが、言い訳としては十分に通用するはずだ。

(いやでも、土方さんの耳に入ったら…)

そのように思案していると、不意に駕籠を持った二人の男が検問を通ろうとしているのが目に入った。