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11話 ページ11

無言のまま車が到着したのは見知らぬ豪邸。

『九瓏先生…ここは?』

紫「ああ、俺の家。」

『どうして。』

紫「外も寮も学校も、誰が見てるか分からないからな。ここならAも安心して話せるだろ?」

そう言って薄く笑うと、先生は車を降りた。

少し戸惑ったものの自分もそれに従って車から降りる。

先生の後に続いて大きな玄関を入ると、そこに待ち構えていた燕尾服姿の人に頭を下げられる。

「お帰りなさいませ。ケント様。」

紫「うん、ただいま。」

「お客様ですか?」

紫「そう、客間用意して。」

「かしこまりました。」

先生に言われると、きびきびと動き出した執事さん達。

『せっ…先生って何者っ?』

思わず零れた本音に、先生がぶっと吹き出した。

紫「ほら、うちは九瓏ノ主の学園長だし、それになりにな?」

『なるほど…お坊ちゃまなんですね…』

紫「タツキの所には負けるけどなー。」

「ケント様、ご準備できました。」

紫「ん、ありがと。」

玄関で話している数分で執事さんが呼びに来た。

通された客間は委縮してしまうほど綺麗だった。

アンティーク調のテーブルには既に紅茶とコーヒー、お菓子などがセッティングされている。

紫「とりあえず座りな?」

『し、失礼します…』

ソファに腰かけると、ふわふわの雲に包み込まれているような感覚。

紫「そんなに緊張しなくても大丈夫だった。」

『こんな豪邸来たの初めてで…』

紫「そうか?先生昔から住んでるからなー。」

『いつも寮の部屋にいるから…なんか落ち着きません。』

広すぎる室内をぐるっと見回すと、先生は穏やかに笑っていた。

隅々まで綺麗に整えられた室内は、執事さんの有能さを表している。

紫「Aは紅茶で良かった?」

目の前に置かれた紅茶からは暖かそうな湯気。

『ありがとうございます。』

小さく頭を下げてカップを手に取る。

「リラックス効果のあるカモミールをブレンドしてあります。」

いつの間にか後ろにいた執事さんに肩がビクッと揺れた。

「これはこれは、驚かせてしまったようで申し訳ない。」

『あっ…いえ。凄くいい香りです。』

「それはようございました。」

紫「大事な話があるから、外してくれ。誰も入れなくていい。」

「かしこまりました。ご用があれば何なりと。」

手を胸にあててお辞儀する執事さん。

執事さんがドアを出るまで目で追ってしまった。

紫「どうした?」

『執事喫茶にはまる女の子の気持ちが分かった気がします…』

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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時

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