検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:36,895 hit

12話 ページ12

紫「やっぱり雰囲気違うな。」

Aはドアへと向けていた視線をケントへ戻す。

『何がですか?』

そう聞くと、ふと笑ったケント。

紫「学校にいる時より随分雰囲気が柔らかいなって。」

ケントの言葉にキュッと表情を引き締めた。

紫「先生は今のAがいいかな。」

『…』

紫「別に今くらいいいだろ?誰も見てないんだし。」

『別に学校にいる時と、態度を変えてるつもりはないんですけど。』

紫「学校にいる時は何かいつも気を張ってる感じ。だけど今はそれがないかな。」

『そう見えますか?』

紫「うん。」

『そうですか。』

諦めたようにAはキュッと結んだ表情をほどいた。

紫「誰にやられた?」

一変して真剣な眼差しでAを射抜くケント。

Aは少しひるんだように目を逸らし、小さく呟いた。

『この間…掃除当番を代わってって言われた人たちです。』

ケントは分かっていたのか、ため息とともに体をソファに預けた。

紫「そうか…ごめんな?」

『何がですか?』

紫「あそこで急に止めに入ったからだろ?あー…もう少し考えるべきだったな。」

『だから言ったんです。関わらないでほしいって。』

紫「うん、悪かったとは思う。けど、関わるなって言うのは無理かな。」

『先生ッ!』

紫「どうして苦しんでる生徒をほっとける?」

『今まではッ…ほっておいてもらえました。』

紫「なあ、何でそうなんだ?」

『何がですか?』

紫「どうして助けてって言わない。どうして最初から諦めるんだ?」

『別に…最初から諦めてたわけじゃないです。でも助けを求めても無駄だって理解しただけで。』

紫「先生は助けを求められてない。」

『どうせ皆一緒です。先生だって結局は教師という仕事をしているだけで。面倒くさい事はごめんなんです。特に私みたいな人間はっ…』

そこまで言って言葉を濁したA。

紫「なら、俺を先生として見なくていいよ。」

『え?』

紫「今から俺はお前の先生やめる。1人の人として接して?俺もお前を生徒としてみない。」

『何言ってるんですか…?』

紫「要は仕事でお前と接してるわけじゃないって事。それなら話してみる価値あると思わないか?」

Aはケントの言葉に大きく息を呑んだ。

前髪で隠れた目もきっと大きく開かれているだろう。

紫「どう?絶対口外しないし…だからAの事、全部話してみてくれないか?」

その言葉に俯いてしばらく考えた後、本当に小さくAは頷いた。

13話→←11話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。