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2話 ページ2

『ンッ…』

久しぶりに意識を浮上させれば、薬品の匂いと真っ白な天井。

私はどうしてここにいるのか。ここはどこだろう…

「おっ!気が付いたか!?」

声の方向に目を向ければ、椅子から立ち上がった男性。

『く、九瓏先生?』

紫「良かった。今、看護師さん呼ぶからな。」

枕元のナースコールを押して誰かと会話している先生をぼーっと見つめた。

そうか。

私襲われかけて…意識を…

思い出せばあの時の恐怖が蘇り、体ががくがくと震え始めた。

紫「おい、大丈夫か?」

『嫌ッ!』

私の様子を心配して、先生が伸ばした手を思い切り振り払ってしまった。

『ご、ごめんなさいッ…』

でも今は…男の人が怖い。

ううん。人が怖い…

紫「いや、俺こそごめんな?あんな事があったんだ。怖くて当然だよな。」

私の行為に不快感を示すことなく、先生は優しい顔で微笑んだ。

先生の表情に先ほどの自分の行動が酷く残酷な気がして…罪悪感が襲う。

『私ッ…本当にごめんなさい…』

紫「Aのせいじゃないだろ。だから気にするな。」

入り口のドアが開き、医師と看護師が入ってくる。

「気が付きましたか。」

『はい…』

「気分はどうですか?どこか痛い所は?」

医師から質問を受けている間に、看護師がかけられていた布団をめくる。

いつの間にか先生の姿はなくなっていた。

『いいえ。特に…』

その後、念のため検査を受け、かすり傷や切り傷以外の問題は見つからなかった。

「Aさん。保護者の方は?」

病状の説明などあるんですが、と医師が付け加える。

『えっ…と。』

紫「一応、私が保護者の代わりです。」

私が返答に困っていると、再び病室に姿を現した先生が答える。

「あなたは?」

紫「彼女の通う高校の教師です。」

『先生っ…』

紫「心配するな。お前はゆっくり休んでなさい。」

『…はい。』

先生の言葉に素直に頷いた。

医師と連れだって病室を出て行く先生。

人のいなくなった病室は静まり返る。

考えたくない思考ばかりが浮かんで、ギュッと目を閉じた。


小学生の私がいた。

「○○君の好きな人ってAちゃんなんだって」

「え?私○○君の事好きだって言ったよね!?」

「Aちゃんちょっかい出したんでしょ!?」

「酷い。○○ちゃんが好きなの知ってて?」

『違う!私そんな事ッ―ー』

「ねえ、今からAちゃんの事無視しよ。」

「そうだね。」

きっかけなんて小さな女の子の嫉妬。

でもその日から私は…

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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時

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