最後の審判2【ワールドトリガー】

Story.26 ページ27

私は個人ランク戦にあまり参加していない。

というのも、まず、遠征への参加とチームのランク戦への参加。防衛任務は玉狛担当分と太刀川隊担当分を両方こなし、更に唯我やその他弟子たちの訓練。高校、大学に通い、空いた時間では妹のお見舞い。

そこから個人での戦闘の練習やトリガーのチューニング、トリガー解析のためにエンジニアに手を貸したり、迅や本部の幹部たちに絡まれたり……。

そう、時間がなかったのである。


だが最近では、遠征の予定がまだまだ先であることと、大学が春休みに突入したこと、そして良くも悪くも妹に割く時間が無くなったことで、個人ランク戦に参加する余裕ができている。

「あの戦闘狂〜！どうやったら4万ポイント越えるのよ！？
ていうか、私に防衛任務押し付けてレポートやってるくせにランク戦やる余裕はあるのね！？

個人ランク戦にあいつ引っ張り出して、半分ぐらいごっそりポイント取ってやるわ……。」

そして、私が死ぬほど多忙を過ごしている間、死ぬほど個人のランク戦をしまくっていたうちの隊長が4万ポイントを越していることを初めて知る。


ときに、ランク戦の仕組みでは、自分よりランクが高い相手に勝つとごっそりポイントを取ることができ、自分よりランクが高い相手に負けてもそこまで痛手はくわない。

つまり、太刀川と私のアタッカー武器での実力的には恐らく6:4ぐらいなので、多少負けが多くともポイントを奪いまくることは可能である。

そんなわけで、対太刀川の個人戦を行う為に、トリガーセットや仕様を少しずつ組み替えながら、孤月のランクを磨いている所なのだ。


「米屋、ブースに入りなさいよ。練習台。」

「え゛、勘弁してよ。昨日オレから300ポイント取っていったばかりじゃん？ほら、他の人……、荒船さーん！！」

私が米屋をブースに連れ込もうとすると、胸の前で大きくバツを作られる。

私は現在、孤月4900ポイント。新人の遊真とほぼ同じポイントの為、現役A級隊員からはガポガポポイントを稼げる。

それをわかってあちらこちらに声をかけてボコボコにしていたら、少なくとも米屋と緑川には最近ランク戦を2回に1回は拒まれる。ほぼ毎日声をかけているからだけれども。

全員でトーナメント戦でもやればいいのにと思うので、今度提言したい。


米屋が呼んだ先には、普段スナイパーの方にいる荒船がアタッカーのブースに来ている。

そして、少し視線を逸らすと、No.4アタッカー、村上鋼の姿が見えた。

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