・ ページ7
「大丈夫だ、俺もAといるとよくそうなる」
見当違いなフォローをした冨岡さんは、優しくAさんに触れる。頬にするりと添えられた手に、彼女は自分の手を重ねてうっとりと冨岡さんを見つめる。
「ふふ、おそろいですね私たち」
「…(嬉しい)」
花が飛んでいるかのような雰囲気に目眩がした。完全に恋人のそれを漂わせる2人。
「本当になんなんです冨岡さん」
「何の事だ」
「さっきから貴方はいい所ばかり持って行って…!!」
「だからなんの事だ」
耐えきれなくなって、冨岡さんとAさんの間に壁になるように入り込む。
瞬間、あの優しい笑みからいつもの真顔になった冨岡さん。彼は一向にこちらを見ず、私の後ろにいるAさんを見つめている。
その視線は、獲物を逃がさないとでもいうような“男の目”。彼は分かっているのだろう、これは彼にとって、Aさんを手に入れる絶好の好機であるのだということに。
絶対に近づけてなるものか、もし仮に近づけてみろあの雰囲気は間違いなく恋人に発展するようなそれだ。
しかし私の思いは虚しく、私の後ろのAさんはするりと私の作った壁をすり抜け、冨岡さんのもとへ。
「…へへ。こうして義勇さんを見てるとなんだか幸せな気持ちになります」
「……A、今から言うことを聞き逃さないで欲しい」
冨岡さんが勝負に出た。今すぐにでも止めたい、止めたいはずなのに何故か体は動かない。
嫌だ、やめて、Aさんを取らないで。
これまでAさんを影で支えるような形でしか関わってこれなかった。でも本当は、姉が私にしてくれたように優しく甘やかして、妹のように可愛がりたかった。
「ずっと前、俺とAが初めて会った頃から」
それが叶わぬまま、Aさんが誰かの恋人になるなんて。
「お前のことを、ずっと、ずっと」
普段から関わる機会がないのに、余計に会う機会がなくなってしまう。そんなのあんまりだ。
「好いてい_____」
冨岡さんの言葉を遮る形で、ポン、とコミカルな音とともに彼女の体から煙が出た。
煙が引いた先には、きょとんとした顔をするAさん。その顔には先程の恋する乙女の表情はない。
「え、義勇さん?あれ、私ここで何してたっけ」
はて、と首を傾げるAさん、呆気に取られる冨岡さん。
私は今回は隠すことなく大きくガッツポーズをした。
166人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時