唇と唇が。 ページ30
「も〜〜っ、何するんです!!」
「ははは!おらおらァ、そんなもんかァ!?」
楽しそうにケタケタ笑う目の前の男を睨む。
真っ白な髪を揺らす彼、実弥さんは私の顔を見てさらに楽しそうに笑い、何かを持つ手を高らかに上げた。
彼の手に握られているのは、私の髪留め。
何となく町で見かけて買った組紐だ。色が輝哉様からもらった羽織と合っていてお気に入りの代物である。
それを取った実弥さん。私よりも身長が高いのを利用して、腕を高く掲げで私に届かないようにするその様は完全に子供である。
そしてそれにノってはしゃぐ私もまた子供である。
そう、ただのじゃれあい。じゃれあいのはずだった。
「そろそろ返してくださいよ〜!!自分より身長が低いからって酷いです実弥さん!」
「んなこと言いながらも半笑いじゃねぇか!楽しいんだろ本当は!」
「そりゃ確かに楽しいですけれども!でもそろそろ返してくださいマジで!」
実弥さんの胸の辺りの羽織をぎゅっと握り、精一杯背伸びして彼が上に伸ばした手を掴もうと手を伸ばす。
至近距離に実弥さんの顔があるがお構い無し。だってそろそろ私髪の毛結いたいし。まあ結うのは炭治郎だけども。
「きゃあ!みてしのぶちゃん!不死川さんとAちゃんがぴったりくっついてる!」
「あら、ふふふ。どうしてくれましょうか不死川さん」
「私たちの方が常にくっついてるからそんなにぷりぷりすることないわ!
でも何してるのかしら、あのままだと転びそうで心配だわ」
「A〜!そのままだと転ぶぞ!!」
近くで蜜璃さん、しのぶさん、炭治郎の声が聞こえる。
見てるんなら取り返すの手伝ってくれよ〜…と思っているときだった。
「___おわっ!?」
「ぅえぁ!!?」
私に取られないよう、後ろに反り返っていた実弥さんがよろめく。
ぐらりと重心が後ろに倒れていく彼に密着していた私も、実弥さんに寄り添うように前に倒れ込む。ただえさえ重心が後ろにかかっていた実弥さん、私の体重までが加わって、2人でそのまま倒れた。
襲い来る痛みに備えるためにぎゅっと目を瞑る。
うわぁ炭治郎たちの言った通りになったよ…また怒られる…なんて考えていた時だった。
「きゃああああああ!!!」
「ああああああ!!!!」
「(絶句)」
蜜璃さん、炭治郎の叫び声が響く。何事かと目を見開くと、視界いっぱいに広がった実弥さんが目に映る。
そして唇に、柔らかな感触。
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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時