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嫁たちに見せられた鏡に映っていた僕はそれはもうちゃんとした大人だった。




半信半疑だったけど、どうやら彼女たちが言っていたのは本当らしい。



効果は数時間と言っていたなと思い出すと同時に、それなら急いでAのもとに行かなければと、蝶屋敷に向かう足を早める。この時間ならばもう彼女は屋敷に戻っている頃だろう。





視界が高い、歩く速さが速い。声もいつもより少しだけ低くなって、雰囲気は大人びた。




はやく、はやくAに会いたい。会って自分はもう子供では無いのだと、子供扱いしないで欲しいと伝えたい。





___ちゃんと、ひとりの男としてAの眼中に入りたい。





蝶屋敷の門をくぐり、『誰ですか!?』という人の声を無視してAの部屋へと走る。




どうか彼女がまだ出かけていないことを祈りながら襖を開けた先には、Aが確かにそこにいた。




どうやら彼女は眠かったらしい、固い畳の上で丸まってすやすや眠りこけている。






「…A、A、こんなところで寝てたら風邪引くよ」


「ん…あと5時間……」


「長いよ夜になるよ」


「じゃあ3時間…」


「長いよ」


「じゃあ…2時間55分」


「5分縮んだだけだからねそれ。本当は起きてるでしょA」







うーんと伸びをして目を擦り、数回ぱちぱちと瞬きした後、彼女はバッとこちらを振り向く。


頭の先から下まで凝視したAは、困惑した瞳で口を開いた。






「……だ、だれ」


「僕だよ、時透無一郎」


「…………………………成長期……か……???え、数時間で???数時間でここまで????」







彼女は静かに困惑している。


幻覚…?なんて言いながら彼女は僕の体を触る。



ぺたぺたと頬を触ったかと思えば、するりと流れる動作で腕に触れる。実際に触れるものだと判断したらしいAは、何が何だか分からないといった顔で僕を見上げた。







「…なにこれ、私疲れてんのかな」


「ううん、もしかしたら疲れてるかもしんないけど…僕が成長したのは幻覚でもなんでもない、本当だよ」


「……あ、そう…」






物珍しそうに至近距離で僕を見つめるA。

驚いた顔でまじまじと見つめられることなんて無いからすごく新鮮。しかもA、寝起きだからかすごくかわいい。



いつもよりAがより小さく見えて、やや上目遣いのその目にはぐっと来るものがある。




考えるよりも先に手が伸びて、するりとAの頬を撫でた。

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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時

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