お薬実験台。 ページ4
「これを飲めばいいんです?」
「ええ、ぐいっといっちゃってください。…ごめんなさい、Aさんを実験台にしてしまって…」
大丈夫ですよ、とにこやかに笑うAさんに私はある液体を差し出した。
小瓶の中でちゃぷんと音を立てて揺れるそれは桃色をした薬。長いこと私が研究に研究を重ねて、“Aさんに使うために”開発した薬である。
それを不思議そうに眺めた後、躊躇なく飲み干したAさんに私は内心ガッツポーズをした。
彼女に飲んでもらった薬は何を隠そう“惚れ薬”である。
いつも炭治郎くんに甘える彼女の姿(本人はただ一方的に甘やかされているだけである)を目にして、以前『私にも甘えて欲しい』とお願いしたのだが。
「しのぶさんに甘えるなんてとてもとても…!緊張しちゃって無理ですごめんなさい!!」
と言われ走り去ってしまったのだ。
しかし断られると余計に甘えて欲しくなって、悩みに悩んだ結果薬を作ればいいじゃないかという結果にたどり着いた。
本当は薬に頼らずとも甘えて欲しいのが本音ではあるが背に腹はかえられない。
彼女には薬の効果を確認したいという名目で飲んでもらったが、既に下級の剣士(要するにモブ)でそれは実験済みである。
本来は薬を飲んで『一番最初に視界に入った人』を好きになる薬を開発したかったのだが…
『一番最初に名前を口にした人』を好きになるという、本来の目標からは少しズレた物を作り出してしまった。まあそこは良しとしよう、効けばなんだって構わないのだ。
ちなみに効果は1日。たった1日でも私にでろでろに甘える可愛らしいAさんが見れるのであればもう満足である。そしてあと数分もしないうちに、彼女は私に堕ちる。
「(前者の薬の方が、対象が私になる確率が100%だったんですけど…
まあ、飲ませて直ぐに不自然にならないよう私の名前を言ってもらえばいい話です)」
こくり、こくりと喉を通過し完全に飲み込んだ所で、私は今日イチの笑顔を浮かべる。ここまで来れば私のものだ、完全優勝です(?)
あとは自然な会話の流れで私の名前を言わせるだけで__
「あ、そういえば忘れてた!私お土産持ってきたんです!」
「…?お土産、ですか?」
「はい!私昨日の夜、義勇さんと合同任務で___」
「」
私は盛大に膝から崩れ落ちた。それはもう、いつぞやのAさんのように。
___
(夢に溺れる 番外編『鏡事件』参照)
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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時