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もう、と彼女は腰に手を当てて怒る。
が、そんなことより僕は彼女が僕の名前を呼び捨てた事に驚いて反省どころではない。
「…呼び方、」
「え?あ〜…嫌だった?
私、無一郎のこと子供扱いしてるつもりは無くって…どの点がどう子供扱いなのか考えて、まずは呼び方かなと」
ほぼ同世代で君付けしてるの君だけだし、と彼女は肩をすくめる。
どうやら彼女なりに僕への対応を考え直してくれたらしい。
「…何がどうしてああいう状況になったのか、教えて貰ってもいい?」
「……うん、」
なんだか話すのは気が引けたが、理由をあやふやにして事の発端を1から説明した。自分がAのことを好きだというのはまだ言えない。
自分を子供扱いされるのが嫌だったこと、一刻も早く大人になりたかったこと、宇髄さんのお嫁さんから薬をもらったこと。
「……薬……」
「どうかした?…まぁ、怪しいといえば怪しいけど本物だったよ」
「ああいや…私も最近、薬で一波乱あって」
どこか遠い目をして言うAに首を傾げる。
まあそんなことはいいんだよ、と付け加えて彼女は僕に向き合った。
「まず謝る、無意識に君のことを子供扱いして…しかもそれで不快な思いをさせてしまってごめん
私は子供だとか大人だとかで態度を変えてるつもりはなかったんだけど…」
さらりとAが僕の髪を梳く。にっこりと優しい笑みを浮かべた彼女の視線の先は、紛れもない僕。
「自分より年上がいいとか、年下がいいとかないよ。
ちゃんと無一郎のこと見てるし、好きだよ」
どくん、と胸が鳴る。じわりと胸が温まる感覚に、自然と頬が緩んだ。
「へへ、僕もAのこと好きだよ
だからかな、一緒に出かけてた大人の人に、不死川さんに嫉妬しちゃったのかも」
「……ごめん、やっぱり君可愛いよ」
「何言ってるの、Aも可愛い」
「え〜〜〜褒めたってなんにも出ないよもう〜〜〜〜
君にはこのおまんじゅうをあげようね」
「出るじゃん」
僕らの間に流れる空気はどこまでも緩い。
だけど居心地は良くて、なんだか暖かい気持ちになる。
本当は、ちゃんと僕のことを『弟』じゃなくて『男』として見て欲しいけれど、今回ばかりは目を瞑ろう。
___今日のこれは間違いなく『弟』脱出の第1歩だ。
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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時