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「A」
静かな部屋の中、窓から見える空を眺めていた時だった。部屋の襖からそっと顔を覗かせた輝利哉様が私の名を呼んでいる。
どうぞ、と微笑んで私は彼を招き入れた。
「今日はいい天気ですね」
「そうですね、私もそう思って今空を見ていたところです」
「…宜しければこれから出かけませんか?家に篭っているのも退屈でしょう?」
予想外のお誘いだった。特に断る理由も無いため頷けば、輝利哉様は顔を綻ばせる。
差し出された手を握って立ち上がり、歩くと髪飾りがしゃらんと音を立てる。今身にまとっている着物は違うけれど、鬼殺隊になる前に身につけていた代物だ。
番傘をさして2人で中に入る。交わされる話の中には当然、鬼殺隊の話も混じっていて。ああ、私は何をしているんだろうとぼんやり思っては、その考えを振り払う。
「輝利哉様はお忙しいのではないのですか?
その…引き継ぎの件で慌ただしくしていると、妹君から伺いまして」
「それを言うならばAだってそうでしょう」
気にしないでください、と彼は笑う。つられて私も頬が緩む。私の髪の毛を撫でて、切なげな眼差しを向ける輝利哉様を私も見つめ返した。
「…こんな、鬼殺隊をやめてまで急に私の婚約者だなんて
いくら父上の提案とはいえ…これから先の、例の作戦のこともありますし、それに、」
「輝利哉様、大丈夫、大丈夫です」
手を握って、そう告げた。
___あの日、柱会議があった日。輝利哉様に連れられた先にいた輝哉様に、私は輝利哉様の婚約者になる事を勧められた。
「禰豆子が太陽を克服した今、鬼舞辻無惨が何をしでかすか分からない状況だ、Aが危ない。
ここならば奴の目に触れることも無いから、しばらくはここにいるといいよ」
「でも迷惑では…私は産屋敷家の血縁者でもないのに、」
「なら、なればいいんだよ、A。
___前々からずっと思ってたんだ、君を家族に迎えたいと」
納得がいった。
話に聞けば私の家系と産屋敷一族はかなり昔から、それこそ鬼殺隊が発足した頃からの仲らしい。
産屋敷家の書物を調べたところ、長い歴史の中で、何度かうちの家系から嫁を貰っている。最後に私の家系から嫁が出向いた、数百年前の事だった。
教養、そして神力。妻として十分だと輝哉様は言う。
私も考えることがあって、その話を呑み込んだのだ。
「大丈夫ですよ、誰も死にません、絶対に。」
__神に誓います。
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桜花(プロフ) - ぺーじ29の上弦が上限になってますよなおしいたほうがいいかと私が間違ってたらごめんなさい (2020年5月12日 0時) (レス) id: 28a0d4aa7b (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - お二人共コメントありがとうございます…!もうすぐで完結致します、どうか最後までお付き合い下さい! (2020年4月19日 13時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
mustard(プロフ) - うわぁぁぁ夢主ちゃん死なないでぇえええ!!夢に溺れるから、ずーっと見てます!文才分けて欲しいほど面白くて、更新されたらポウッって声出して喜びます(?)ハッピーエンドを期待しております(( (2020年4月19日 4時) (レス) id: e36ed0dc7b (このIDを非表示/違反報告)
液体(プロフ) - すごく面白いです...!!続きの展開がとても気になります更新待ってます頑張って下さい! (2020年4月8日 23時) (レス) id: 5db20428bf (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - もえさん、朔弥さんコメントありがとうございます…!朔弥さんに至りましてはご指摘ありがとうございます!更新頑張りますので応援よろしくお願いします〜!! (2020年4月6日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月25日 17時