【鬼滅の刃】夢に惹かれる【愛され】

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夜。


部屋でぷうぷうと眠る炭治郎と禰豆子の元に近づく者が一人。





長い黒髪を揺らしながら近付いた彼は、しばらく炭治郎を上から見下ろした後に、ふぎゅっと炭治郎の鼻をつまんだ。






鼻をつままれたことで、ふがっと音を立てて炭治郎は目を覚ます。寝ぼけ眼の炭治郎に彼は無表情で問うた。









｢鉄穴森っていう刀鍛冶知らない？｣


｢わぁ時透くん、今俺の鼻つまんだ？｣









眠そうな目を擦りながら、無一郎の質問を華麗にスルーした炭治郎。がばっと起き上がった彼の近くでは禰豆子がすやすやと眠りについている。









｢つまんだ、反応が鈍すぎると思う｣


｢いやいや！敵意があれば気付きますよそんな！｣


｢まあ敵意を持って鼻はつままないけど｣









だんだん脳が覚醒してきたらしい炭治郎は、トンチンカンな返答をした後、姿勢を整えて無一郎の質問に答えた。






｢鉄穴森さんは知ってるんだけど…どうしたの？多分鋼鐵塚さんと一緒にいるんじゃないかな？｣


｢鉄穴森は僕の新しい刀鍛冶。鋼鐵塚はどこにいるの？｣


｢一緒に探そうか？｣


｢……なんでそんなに人を構うの？君には君のやるべきことがあるんじゃないの？｣









心底不思議そうに無一郎が尋ねる。無表情なその瞳を見てぱちくりと瞬きした炭治郎は、ふっと笑った。








｢人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためになっているものだし

俺も行こうと思ってたからちょうどいいんだよ｣






え、と無一郎は声を上げた。今まで動くことのなかった表情が少し驚いたものに変わっている。


まんまるに開かれた瞳は炭治郎を見つめていた。





｢何？今何て言ったの？今、今…｣


｢それにもしかしたらAにも会えるかもしれない！

ついさっき刀を受け取りに行くとかなんとかで…｣


｢…Aを知ってるの？｣


｢？うん！たまたまここで一緒になって＿＿イデッ｣






炭治郎のすぐそばで寝ていた禰豆子が目を覚ました。


ギュンっと勢いよく上半身を起こしたせいで、禰豆子の頭と炭治郎の顎が勢いよく衝突。






いたいなんて言いながらも笑顔の炭治郎、むきっむきっと筋肉をイメージさせるような禰豆子を、無一郎は変なものでも見るかのような目で見る。




しかしその表情は何かを思い出そうとしているようにも見え、必死に以前の記憶を掘り起こそうとしているようでもあった。






｢一緒に鋼鐵塚さんのところに行こう！｣


｢＿＿＿炭治郎？｣

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