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「なんだって読み聞かせなんだ？」
土方はAに聞いた。
「この本をもう1度読みたいんです」
そしてAは枕元を探り始めた。
「ここら辺に本がある筈なんです…」
「…本？」
Aは自分の体の左側にあったそれを取り出して、隣にいる土方に渡した。
「土方さん…」
「これ、受け取ればいいのか。」
「はい。」
土方はそれを受け取ると、本の表紙を開いた。
『何も見えない』
Aにはピンポイント過ぎるその題名に驚きつつ、目を文に当てていく。
________________________
見
な
け
れ
ば
無
知
だ。
________________________
煽り文句が何故かおどろおどろしく感じ、土方はいくらかの頭痛を感じた。
(なんだこれ…)
裏表紙には、『見えてしまった。』とだけ一言書いてあった。
土方はその物語を1度も読んだことは無かったが、それでもそれがとてつもなく残酷なものだと察した。
「…お前、これを“読んだ”ことあるのか。」
「はい。目は昔見えていたので。」
「…そうか。これ、俺今日の夜一人で読んでみてもいいか？」
土方が少し間を開けてから聞いたら、Aは良いですよ、と返した。
「興味深いからな。その後でも別に間に合うだろう？」
「そうですね！楽しみは後でって言いますもの。」
土方はそれに頷くと、丁寧に自分の枕元に置いた。
・・・
夜
『何も見えない』
盲目の少女は、孤独だった。
唯一安心できる場所は、暖かいお母さんの腕と夜に眠るベッド。
少女はビアンカといいます。
ビアンカは生まれた時から目が見えませんでした。
だからビアンカは、「形」というものが存在するのを知りませんでした。
ビアンカは母のマリアに聞きました。
「私は、どんな姿をしているの？」
マリアはいいました。
「とても、魅力的な女の子よ。」
そしてビアンカの頭を撫でました。
それでもビアンカは、魅力的ということがどういうことなのか分かりませんでした。
「とにかく、美しいわビアンカは。」
ビアンカは、マリアから美しい、綺麗、可愛いと言われ続けました。
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hikari(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます！正直に言う行き詰まっていたのでそう言っていただけただけで嬉しいです！ (2017年4月16日 18時) (
レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し不思議な話で、ちょっと好きな雰囲気でした。これからの活躍も楽しみにして居ます。 (2017年4月16日 9時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - すずさん» ありがとうございます！なかなか更新が滞り申し訳ないです！ (2017年4月4日 1時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 毎日、更新楽しみにしてます！ (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2283804e7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hikari | 作成日時：2017年3月28日 21時
