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いつの間にか面会時間は終わり、近藤と沖田の2人は病室から出ていった。


「いやあ、終始面白い方々でしたね〜」

「普通にしてたらそういう奴らなんだが、仕事になると一癖も二癖もあるから行けねぇ。」

土方がそう言うと、Aは首を傾げた。


「上司の近藤さんの方は惚れた女にストーカーじみたことしてんだよ。
部下の沖田の方は年中俺のことを付け回して命を狙ってきやがる。」


「愉快ですね」

「毎日あんなんとつるんでみろ。
おかしくなってくるから。」


Aは、くすりと一つ笑うと続けた。


「そんな風に言ってても結局は見捨てずにいるんですから、きっと素敵な人達なんですよ。
私にはそう思えてなりません。」


「結構楽観的なのな。」


「よく言われます。」



・・・


『浅井さーん、リハビリですよ〜』


しばらく二人が談笑していると、看護師がやってきた。


「あら、もうそんな時間なのね。」


「珍しいですね〜。いつもならやっと来た〜なんて言うのに。」


「だってずっとここに独りだったんですもの。」


Aは笑って言った。


「でもなんだかんだ独りを楽しんでたんじゃないですか〜?」


「それはあります。」


「やっぱり!さ、降りれますか?」


「いつもやってるから大丈夫!」


Aは慣れたようにベッドから足を下ろすと、看護師の両手に自分の両手を重ね合わせた。


「じゃあリハビリ室まで行きますよ〜」


そうして土方は独り病室に取り残された。



・・・

土方side


「…はぁ。」


浅井がここから出ていって大体数十分だろうか。


俺は暇を持て余してサンデーを読んでいた。


コナンが犯人に目処を付ける位のところで、俺は何故かそれに飽きてベッドの脇にあるチェストに置いた。



《調子狂う。》


今の心境である。


なんでかは点でわからない。


強いて言うならば、きっと今まで盲目の女どころか人間にすら会ったことがなかったからだろうか。


愛読するマンガも、たまに見るテレビも。


全部目が見えないと楽しめたもんじゃない。


浅井と出会って数時間なのに、いつの間に俺の頭の中に盲目という基準が現れた。


いつもなら吸いたくてうずうずするタバコですら、手が伸びない。


近藤さんが気を利かせてチェストの1番近いところに置いてくれたというのに。


欲望すら湧かない。


自分にとって、出会ったことのない新たな人種というべきか。


俺はいつの間にかそいつのことをきにかけるようになった。

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hikari(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます!正直に言う行き詰まっていたのでそう言っていただけただけで嬉しいです! (2017年4月16日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し不思議な話で、ちょっと好きな雰囲気でした。これからの活躍も楽しみにして居ます。 (2017年4月16日 9時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!なかなか更新が滞り申し訳ないです! (2017年4月4日 1時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 毎日、更新楽しみにしてます! (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2283804e7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hikari | 作成日時:2017年3月28日 21時

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