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Aside




「…うっ…」


目に入れた液体は、眼球を通って身体中に痺れを起こした。



じわじわと流れ続ける痛みにじっと耐えるように、私は目にぎゅっと力を入れた。


痺れがなくなった頃、ゆっくりと私は目を開けた。


はあ、はあと乱れる息を整えながら辺りを見渡した。









私はもう、盲目なんかではなくなっていた。








久々の外界と、初めて見る病院の風景に少しばかり感動した。


『自分で自分の目を死なせた』くせに、何故かやっぱり見えることの美しさをしみじみと噛み締めた。



「浅井源五郎…おじい様のところに行かなきゃ。」




そして私はゆっくりとベッドから足を下ろした。


自分自身で歩くと、少しふらつき体が傾く。


それでも前に進んで、やっと真っ直ぐに歩き始めた頃には病院の玄関に出ていた。



自分の靴を懐から取り出して、それを履く。



最早痛みを感じなくなった足を引きずりながら、おじい様の所へ急ぐ。






「浅井源五郎さん、やめてください。


探している、浅井Aならここにいます。」



「浅井Aは…私ですよ、おじい様。」




色んなところから、聞き覚えのある声がした。



「浅井…なんでお前…」



そしてただ1人だけ、正体を確信できた。



「…土方さん、私、嘘ついてました。」



おじい様の腕をつかみ、私は土方さんの方を真っ直ぐ見つめた。



「…浅井…お前…目が茶色…」



「盲目になったのは、白内障なんかではありません。」



「薬を使って、目を見えなくしていました…」




・・・

沖田side


「…薬…?…浅井!降りてこい!」


土方は、浅井さんへ叫んだ。


「無理ですよ…おじい様は、私から離れたらまた暴れてしまう…」


そんな土方に、とても悲しそうな顔で浅井さんは返した。


俺が犯人の覆面男を見ると、別人のように大人しくなっていた。



「暴れてしまう…?獣じゃねえんだぞ。」


「いいえ、獣なんです。」



そう言うと、浅井さんは覆面男から離れた。








『おい!浅井Aはどこだ!!!』







確実にタネのありそうな豹変ぶりに、言葉を失った。



「こりゃあどういうカラクリでィ。
こんな状態じゃあじじバカじゃ済まされねえぞ。」


「…私のおじい様は、私の父親に支配されています。」



「父親に支配?どういうこと?」


姐さんが、きょとんと呟いた。




「土方さんは知ってますが、私の父親は天人です。」

もう何が起きても怖くはない。

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hikari(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます!正直に言う行き詰まっていたのでそう言っていただけただけで嬉しいです! (2017年4月16日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し不思議な話で、ちょっと好きな雰囲気でした。これからの活躍も楽しみにして居ます。 (2017年4月16日 9時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!なかなか更新が滞り申し訳ないです! (2017年4月4日 1時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 毎日、更新楽しみにしてます! (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2283804e7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hikari | 作成日時:2017年3月28日 21時

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