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「ったく、何が入院だっての。」

「口に出てます、土方さん。」


鬱憤を心の中で唱えていたつもりが、看護師によって口外してることに気づいた。


「今回、病室にもう一人患者さんがいらっしゃるので、是非仲良くしてください。

とりあえずここです。590号室。」


看護師のいざなうがままに土方はそこに入った。

奥の右側のベッド。


そこには既に先客がいた。



「浅井さん、三日入院する土方さんですよ。」


看護師はそこにいる患者に声をかけると、嬉々とした声の女声が聞こえた。


「新入りさん?」

女は柔らかな声で土方に言った。


「新入り…?

あァ、ちょっとな。
大事を取って入院だって言われたんだ。」


「そうなんだ…怪我かなにか?」


「そうだ。別に俺は平気なんだが、医者も上司も言って聞かねえ。」



「火消しさんとかかしら。」




「警察。」




「警察でも怪我はするのね。」


純粋に驚いたように言った。

「怪我くらいする。
それに俺は目つきが悪いらしいからな。
だから結構敵をつくっちまう。」

「あらそうなの?」

「てめえ、俺の目を見てんのに思わねえのか。」

「あ、いや…」


「私、目ェ見えないんだ。」



「え…」


「あはは、ごめんなさい、気を遣わせちゃって。」


困ったように笑って、浅井Aは俯いた。


「はじめに言いそびれちゃって…。

タイミング逃しちゃいました。

まあ、そういう事です。


私は、ここに入院して三ヶ月の浅井Aです。」


「土方十四郎だ。」


「よろしくお願いします。」


「つかなんでお前さんはこの外科で入院してんだ?

普通眼科とか内科じゃねえのか。」


「いやあ、階段踏み外しちゃって!」

あはっなんて呑気に言うものだから、土方は拍子抜けしてため息をついた。


「あんたそりゃ笑いごとじゃねえだろ。」


「でも笑ってたらなんでも楽しくなりますよ?

目つきが悪い人が敵をつくる原因は、二つあります。」


Aは土方に言うと続けた。


「目つき悪いどころか、性格が滲み出てる人。
それか、目つきだけが悪いだけで、ただたんに無愛想な人。

土方さんは後者みたいです。」


ころころとAは笑った。



「お気遣いありがとうな。」


土方は胸元を探った。


「あれ、ねェ…」


「なにか探してるんですか?」



「いや、タバコをな…」

「全館禁煙ですよ、ここは。」


「まじかよ…」

「喫煙者なんですか。みんな同じ言葉言ってますよ。」

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hikari(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます!正直に言う行き詰まっていたのでそう言っていただけただけで嬉しいです! (2017年4月16日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し不思議な話で、ちょっと好きな雰囲気でした。これからの活躍も楽しみにして居ます。 (2017年4月16日 9時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!なかなか更新が滞り申し訳ないです! (2017年4月4日 1時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 毎日、更新楽しみにしてます! (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2283804e7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hikari | 作成日時:2017年3月28日 21時

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