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Aside


「なぁ。」


すると、しばらく黙ったままだった土方さんが、言葉を発した。


「…浅井。」


「はい?」

そして、何を思ったのか。

「ならどうして、あんたは目が見えなくなった。」


私に尋ねてきた。



「…盲目の理由ですか?」


「ああ。」


「なんでそんなことを?」


とても不思議に思った私は、土方さんに聞き返した。


「興味って言ったら怒るか。」


土方さんは、ぶっきらぼうな声でそう返してきた。


私は、土方さんのその声色を聞いて少しおかしな気分になった。


ふふ、なんて笑って。


「ただの白内障です。」


「なんだそれ。」

答えた。



「生まれつき、目が悪くて…。


1度手術はしたんですが、

成長するにつれて、急激に視力も落ちていきました。


今はなんか不思議で、目の前がとても濃い霧に包まれているというか…」


「霧?真っ暗じゃねえのか。」

「はい。」


そう驚いたように言う土方さん。



「はい。よくみんなそう言うんですけど、割と違うんです。」


もや〜って。


「へー。」


「…たまにそれが不快になりますけど、まあいいやって。」


「浅井よ。あんた、もし真選組名義で視力を戻せるってなったら、やって見る気はあるか?」


「…手術、ですか?」


「ああ。まだ分かんねえが。俺ァ一応組織の幹部でよ、2番目に指揮を執る立ち位置なんだ。


手術を受けるならその代わりに、真選組で働くことになる。」


「私剣なんて振れませんよ?」

「ちげえよ、女中。今、ひとりいんだが、体が弱っててよ。」


「…なるほど…。」


「俺はお前の茶色い目を見てみたい。」



土方さんはこぼすように呟いた。



「…私が、目を、取り戻せるのですか?」


「ああ。」


「…やってみたい。やってみたいです!」



私はベッドから半身を起こして、大きな声で言った。


「視力戻ったら、土方さんにたくさんお礼をしたいんです!!

目を見てきちんと…、

それに、『あの本』も読みたい…!」


「あの趣味悪いやつか。」


「何を言ってるんですか?土方さんがこっそり病院食にかけてるマヨネーズだって趣味悪いじゃないですか!」


「あ?あれはうめえからいいんだ。」


「んな横暴な…。」


私がそう言うと、頭に暖かい何かが触れた。


「土方さん?頭になにかしてますか?」


「手を乗せてんだ。なんか無性にな。」


そう言って、土方さんは私の頭をその手で優しく撫でてくれた。

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hikari(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます!正直に言う行き詰まっていたのでそう言っていただけただけで嬉しいです! (2017年4月16日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し不思議な話で、ちょっと好きな雰囲気でした。これからの活躍も楽しみにして居ます。 (2017年4月16日 9時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
hikari(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!なかなか更新が滞り申し訳ないです! (2017年4月4日 1時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 毎日、更新楽しみにしてます! (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2283804e7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hikari | 作成日時:2017年3月28日 21時

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