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宴がたけなわにならない。
不思議だ。こんな奴とずっと話していられるなんて。話題が尽きないなんて。
「…まーじで面白いね、沖田くん。」
ベロンベロンにお互い酔ってしまった。だがしかし私の飲んだ量と沖田くんが飲んだ量は段違いであった。
沖田くんはビール八本にいも焼酎と日本酒の熱燗それぞれお猪口十七杯。私は梅酒三杯ハイボール五杯でこのザマ。
もう話すこともままならないはずなのに、それでもこいつとここにいたいと思うのは本当に何か御縁があったに違いない。
沖田くんはまだまだいけるらしい。先程きた店員さんに「生ビールジョッキ。」と頼んでいた。
「すごいね…私お金足りるかな。」
「飲み放題なんだから別にいくら飲もうが値段は変わらねえよ。つかお前平気か?そんな朦朧としてちゃ帰れねえだろィ。」
「おっ優しいね。」
「俺ァ屯所住まいだから泊められねえからな。送りもしねえからな。」
「へいへい。今はお金あるし平気〜。」
「…俺の生が来たら帰るぞ。」
「えー。まだ沖田くんと話してたい。」
酔ってたにしろ、酔っていなかったにしろ、沖田くんが話すことは本当に興味深くてずっと聴いていられた。
警察特有のルールとか、犯罪者ばかりと接してる故のエピソードとか。
おまわりさんと言う呼称を先程怒ったのも、警察が警察とバレたらいけないから…らしい。
私は一応教師の卵として、江戸の城下にある学校で勉強をしている。
それ故にもうこの先の未来は教師以外選択が出来づらい状態となっていて、本来は経験することがなかった他の職について知ることが出来たのが一番の収穫。
「ったく…じゃあまた今度も飯な。月1。」
「ほんと!?じゃあLINE交換しなきゃ!」
わくわくとした気持ちで私はケータイを取り出した。
「なんでお前の画面バッキバキに割れてんだよ。」
「いや、この前道路に落とした。」
「裏切らねえよなそのポンコツぶり。」
沖田くんはケラケラと笑うと、私のLINEのコードを読み取った。
「沖田総悟であってる?」
「ん。お前はAでいいのか?」
「そ。生ビール飲んで帰ろ!」
まあそれよりも何よりも、もっと利益のある収穫はこの不思議な関係を築くことができたことだろうか。
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ふゆき(プロフ) - 歩く中二病@ごりらーさん» お気遣いありがとうございます。 (2018年8月30日 20時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
歩く中二病@ごりらー(プロフ) - 続き、楽しみにしてます!無理しない程度に頑張ってくださいね (2018年8月30日 20時) (レス) id: c177f1386f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふゆき | 作成日時:2018年8月30日 2時