【沖田総悟】拝啓お母さん、貴方の娘は猫になりました。【銀魂】

猫33匹 ページ33

総悟Side


「ハル！！」



小雨が降ったのか、なんだか霞がかった朝を迎えた。


不思議なほど大きな焦燥感が俺の胸を突き刺して、衝動的に起きた朝の５時半。


普通ならばこの時間はすっかり眠っていた。



周りを見渡すと、開いているはずもない部屋の襖が少しだけ開いていた。



ハルがそこから出ていったとしか思えない状況だった。



着流しのまま外に飛び出すと、肌に少しの寒さが当たった。やっぱり着替えようと部屋に戻り、警察手帳と刀もついでに腰に差してすぐに屯所を出た。


日がようやく出てきたようで、道に迷うことは無いだろう。


だけど猫の行く道なんて分かるはずもない。



俺の頭に過ぎるのは、前に土方さんが言っていた『ハルが人間である』ということ。



もしも人間ならどうすればいいんだろうか。昨夜もそんなことを考えながら、柔らかな毛並みをそっと撫で回していた。



愛情に迷っていたことが、猫には伝わるのだろうか。



まさか死んだのではないだろうか。



確か前に立ち読みした雑誌で、『猫は死を悟ると家出する』という記述。


正しくは、『自分の弱みを見せないための本能的な失踪』である。


もしそれが本当なら、悲しいかな皮肉にもハルが人間であることが証明される。


今俺がこうして探す意味もないのだろうか。


でも。それでもいい。この際全て暴いてやろう。



もはや見つかるならばハルがあのムカつく女でもいい。ザキが言っていた通り、あいつにもきっと理由があるのだろう。


だから、早く出てきてくれよ、ハル───────

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