猫22匹 ページ22
「あ、…あの、やっぱりいいです。」
「え?」
「…今説明したらダメな気がして…」
私がそう言うと、目の前の彼はきょとんとした顔をした後に『でも…』と続けた。
「説明しないと沖田隊長はきっと君を斬り殺すことになるよ。
もしそうなればあの人自身が大好きなハルちゃんがいなくなっちゃう。それは沖田隊長が自分で自分を苦しめることになると思うんだ。」
「でももしハルという猫を可愛がっているのなら、私みたいなとんでもなくイカれた女が正体だって知る必要ない気がしてきたんです…。
わがままだとわかっています。」
どうか、どうか…内緒にしてくれませんか?
そうして頭を下げると、彼はあんぱんをテーブルに広げてから、『いいよ。』と笑って言った。
「そしたら一刻も早くここから逃げないと。この部屋を出てすぐ左側に抜け道があるんだ。少し狭いけど君なら大丈夫でしょ。」
「…ありがとうございます!」
じゃあ、また3時間後に。
そう言って、私は部屋をそっと出た。
去り際にあんぱんを頬張る彼の口から、『僕は山崎退だよ。何かあったら呼んでね。』と零れていた。
・・・
山崎Side
「おいザキ。ここを女が通らなかったか。」
「沖田隊長、おはようございます。女の人ですか?どんな人なんですか?」
「俺くらいの年齢の女。俺の部屋に何故かいやがったんでィ。不法侵入もいいとこでさァ。」
「さあ、わかんないです。」
沖田隊長は案の定さっき裏口から出ていった花さんを探していた。無論すっとぼけるわけだけど、沖田隊長は正直勘だけは野生動物のそれなのでうまくごまかせるかはわからない。
沖田隊長は俺の顔をじーっと見つめる。
「おい、隠してんじゃないだろうなぁ。」
「違いますよ!」
「そうだ沖田隊長!俺今日非番なんですよ!このあんぱん消費したいんですけどなかなか減らなくて…
だから休憩がてら一緒にはなしませんか?」
「はあ?」
「ね?いいでしょ?どうせ沖田隊長書類仕事なんてしないんですから。」
「わかっちゃいるが人から言われるとこうもムカつくんだな。」
仕方ねえ、と沖田隊長は俺の部屋に足を踏み入れた。
「あんこがめいっぱい入ってるやつくれ。」
「規定量しか入ってないですからそれは保証できかねますよ。」
俺はビニール袋からあんぱんを取り出して渡した。
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インク(プロフ) - ふゆきさん» 完結おめでとうございますw沖田くんが不器用なのは知ってた←そこが可愛いんやろ。沖田くんは私の中ではいつまでも好きなキャラ1位だな(`・ω・´)キリッ (2018年3月7日 16時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - インクさん» 夢女子は悪くありませんよ…(・∀・) (2018年3月6日 23時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 更新されるたびにヒヤヒヤしてます...沖田くん、頑張れぇ... (2018年3月6日 23時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - そもそもが人間なんだからしゃーないしゃーない。てか、それを受け入れろよ。現実を受け入れろよ沖田くん←現実を受け入れずに夢小説に現実逃避してるのはどこの誰でしょーねー。分かったらさっさと自分の将来とか考えろや(ヒィ!すみませんでした!)という茶番でしたw (2018年3月5日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - まかろんさん» ありがとうございます!沖田は絶対猫派だと信じてますからね。はい。 (2018年3月4日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふゆき | 作成日時:2018年2月25日 15時