猫13匹 ページ13
あれ、私また間違いをおかしたのでは。
現在私は土方の真っ黒な頭に乗せてもらって移動中。
さっきあの建物から逃げられたはずなのに、こいつについている限り私はまた逆戻りではないだろうか。
「おいおい爪立てんじゃねえ!!」
降りたい一心でこいつの頭の上で力んでいると、土方は私をそのまま地面へと下ろした。
「ったく、てめえは乗っかってきたり降りたがったりなんなんだ…。」
タバコの煙は上にもくもくと上がっていく。土方は私の頭を優しく撫でてくれた。
でもその手は僅かに震えていて、土方が猫に慣れていないということだけはわかった。
「身内には猫みたいなやつがいんだけどな。
やっぱモノホンの猫は流石に扱い方が知れねえ。」
(…こいつ、かなり不器用とみた。)
私を見る目は鋭いけど、瞳孔の色は優しく光が差し込んでいた。
「この毛の色も、他人とは思えないんだよな。」
「…にゃあ。」
頭を撫でたあと、そのまま私の背中を優しく撫でる。撫でる手が止まると、そのまま土方は私の横の地面に座り込んだ。
「俺よ、そろそろ変わりたいんだけどな。どうしたらいいかわかるか。猫。」
何を狂ったのか、土方はポツリと猫の私に語りかけてきた。
「……少し前に…いや、随分前なのにただの三日前の感覚なんだが。…その、俺の部下の姉は俺の想い人だったんだよ。
だけどそいつな、病気で死んじまったんだ。」
(思ったよりヘビー級の話だぞ。)
「いつまでもあいつのことを気にかけてるお陰で今も恋人なしの不甲斐ない野郎になっちまってる。
近藤さんの出世のためにも、部下が結婚しないと世間体も悪いんだろうけどよ、どうしてもあたまからそいつが離れなくて。
俺があいつを突き放しておいて、勝手に楽しく生きていいのかって思っちまうんだ。」
タバコはだいぶ小さくなっていく。それを土方は排水溝へと落としていく。ダメでしょ警察。
「どうすりゃいいんだかな。良い奴が俺に言い寄ってくれりゃあ…少しはマシなんだがなあ…どうにも水商売の女にしか興味を持たれんらしいな。」
「って、こんなこと猫に話しても意味無いか。」
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インク(プロフ) - ふゆきさん» 完結おめでとうございますw沖田くんが不器用なのは知ってた←そこが可愛いんやろ。沖田くんは私の中ではいつまでも好きなキャラ1位だな(`・ω・´)キリッ (2018年3月7日 16時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - インクさん» 夢女子は悪くありませんよ…(・∀・) (2018年3月6日 23時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 更新されるたびにヒヤヒヤしてます...沖田くん、頑張れぇ... (2018年3月6日 23時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - そもそもが人間なんだからしゃーないしゃーない。てか、それを受け入れろよ。現実を受け入れろよ沖田くん←現実を受け入れずに夢小説に現実逃避してるのはどこの誰でしょーねー。分かったらさっさと自分の将来とか考えろや(ヒィ!すみませんでした!)という茶番でしたw (2018年3月5日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - まかろんさん» ありがとうございます!沖田は絶対猫派だと信じてますからね。はい。 (2018年3月4日 18時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふゆき | 作成日時:2018年2月25日 15時