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『きみがため』 ページ42

「…ま、あんたに言っても意味は無いがね。」

「何が言いたいんだよ結局…」

「別に言いたいこともなにもありゃしないさ。思ったことを口に出した迄さ。」


「あっそ。」


どんなに拒んでもこの女は俺よりも何十年と生きながらえてるババア。俺はまだ若いらしく、何を言っても結局尻尾掴まれて吐かざるを得ない。


「もう帰る。」

「面白いことを聞けたからね、今日は代金はチャラにしてやるさ。」

「どっちにしても払ってねえ。」

「家賃二倍にするよ」

「それとこれとは話が別だろ!」


開店前の店では、年配の喫煙女と気だるげな毛玉男が恋バナをする間柄になっていた。


・・・
お登勢Side



銀時が珍しく弱音を吐いていたから聞けばどうやら惚れた女に恋人がいるらしい。


らしくない若い悩みじゃないかと感心しつつ笑いそうになる。


カウンターに額をくっつけるそいつは、髪の毛と分かってはいてもわたあめにしか見えない。


クソみたいな生活と性格をしているこの男が、往年万事屋という摩訶不思議な会社経営をそれなりにできているのはこの妙に人間らしい姿からも来ている。


客商売というのは人気商売でもある。大体のところは誰よりも飾った輝いた部分をひけらかすものだが、この男はそんなこと全くわからないのか、とっくに諦めてるのかどっちかはさておき、


家賃は払えない時もあるし、飲み歩くし泥酔するし、さながら独身の中年男である。


だが家賃が払えていないのは、この男が若くして競馬だのパチンコだの賭博に命を燃やしているからであって結局大して稼げていないという訳でもないらしい。


眠りこけている目の前の方奴は、九割九分ダメ人間成分だが少しだけいいところもあるはずだ。


そんなことを考えつつ、欠伸をして本日朝にして三本目のタバコに火をつけた。


しばらく何も考えずにぼーっとしていたら、鍵を開けっ放しにしていた戸が開いた。



「なんだい、まだ営業時間前だよ…って、ありゃ。」





「すみません、この前のお詫びをと思って…」

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作者名:hikari | 作成日時:2017年12月22日 23時

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